2019 Fiscal Year Research-status Report
The effect of task repetition on the development of speaking proficiency
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19K13274
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
半沢 蛍子 東京理科大学, 理工学部教養, 講師 (20755772)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 繰り返し練習 / 自己修正行為(self-repair) / 発話流暢性 / 練習(学習)スケジュール / 発話生成モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで多くの研究によって、「同じ話題を反復する練習」がスピーキング能力の向上にとって効果的であることが実証されている。しかし、この練習のどのような点が発達に効果的に影響するのかは十分に明らかにされていない。本研究では、この要因を反復練習で見られる自己修正行為(self-repair)であると考え、その効果を検証することを目的としている。 本研究では、すでに頭の中で符号化した(話したい概念を文章の形に変換する作業)文章を繰り返すことで、自己修正(self-repair)の頻度や質が変化し、その結果スピーキング能力が向上すると仮定している。2019年度前半に行った先行研究により、この符号化の程度には繰り返しのスケジュールが影響することが分かった。そのため、繰り返しスケジュールの異なる3つの群と、繰り返しを行わない群の計4つの群を比較し、スピーキング能力の発達程度とself-repairsの違いを検証することにした。109名の日本人英語学習者(以下、実験参加者)を、①同じ課題を6回連続して繰り返す「集中練習」群、②同じ課題を3回ずつ授業の最初と最後で繰り返す、「短期分散練習群」、③同じ課題を3回ずつ1週間のインターバルをあけて繰り返す、「長期分散練習群」、④繰り返し練習を行わない、「比較群」に分けて、発話の変化を調べた。また練習に対する自己評価(例:発話のどの点が伸びたか)をアンケートによって調べ、実験参加者が練習の際にどの点に注意を向けていたかを検証した。収集した膨大な量のデータは現在分析中であるが、中間結果としては、集中学習群が他の群と比べ流暢性指標が有意に向上することが明らかになった。この結果より、集中学習群の練習中の発話に、他の群には見られない特徴的な自己修正行為が見られると予測している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度前半は、繰り返し練習についての文献調査と、実験実施に必要なソフトウェア、素材、機材の準備と実験のデザインを行った。後半は、本実験を4つの英語クラスを対象に行った。同時に実験補助者と協力して、発話データの測定と分析を開始した。実験計画に繰り返しのスケジュールという概念を組み込んだために、当初の予定より実験参加者が大幅に増加し、発話データ数が増えたが、測定と分析が順調に進んだため、概ね予定通りに計画は進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度に採取した発話データは現在分析の途中である。そのため、2020年度は、以下のようなステップで研究を進めていく。①発話データの書き起こしを完了し、同時に流暢性指標の分析を行う。②発話データから自己修正行為を抽出し、その種類と頻度を特定する。③流暢性指標と自己修正行為の関連性を分析し、結果を解釈する。④得られた結果を国際学会や論文で発表する。
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Causes of Carryover |
実験に使用する機材(ICレコーダー)が当初の予定より安く購入が可能だったこととより設備備品費用が下がった。さらに計画を変更し実験期間が延びたために当初予定していた成果発表を行わないことになった。そのため、未使用分が生じた。 次年度は当初予定より増えたデータの測定と分析を研究補助者に依頼するので、その人件費を計上する。また測定と分析を効率化するために新しいPCの購入を行い、その予算を計上する。さらに、国内外の学会参加費も支出予定である。
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