2019 Fiscal Year Research-status Report
第二言語ライティング教授法と評価:ジャンル・アプローチと教授学習サイクル
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19K13278
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
長尾 明子 龍谷大学, 国際学部, 准教授 (60570124)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | genre-based approach / L2 Writing / アカデミックエッセー / ジャンル / リテラシー教育 / 英語教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,日本人大学生である第二言語ライティング学習者がどのように新人から経験ある書き手に移行するかを検証する。本研究で取り入れるライティング指導 はジャンルベースドアプローチ(以下,GBA)と「教授学習サイクル」である。これらは,学習者はテキスト構成と適切な語彙選択の理解を高め るのに効果的な指導法であるとされる。 GBA準拠ライティングの指導により,学習者はエッセーの構造理解と適切な語彙選択に関する意識を高めることは知られているが,Systemic Functional Linguistics (SFL)の言語学の枠組みを基盤とした評価方法により,学習者の英文ライティング能力の「何が」「どう変化したか」を追跡検証した研究は数が限られる。さらに,中学校・高等学校・移民・留学生を対象としたオーストラリア言語政策およびリテラシー教育に使用されているGBAを導入した英語ライティング教授法を日本の教育現状に適応させるためどのような工夫が必要であるかを調査した論文も限られる。そのために,本研究では,次のことを明らかにしていく。 ①学習者が書いたエッセー, SFLの枠組みでつくられたルーブリックにより評価分析し,テキストを構成する言語の3つの機能の理解がどのように変化するか ②SFL-GBA準拠ライティング教授法は,通常,教授学習サイクルを取り入れ書き方を教えることを特徴とする。このサイクルには複数の学習ステージがあるが,各ステージの内容は,学習者の英作文に関わる能力の何を高めているのかを明確化させる ③汎用性の高いSFL-GBA準拠ライティング教授法とは何かを追及するため,中学生,高校生,留学生を対象としたSFL-GBA準拠ライティング教授法に使用されている実践タスクやテキストはどのようなものがあるかを明確化する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SFL-GBA準拠ライティング指導により,英語学習者がどのように新人から経験ある書き手に変化するかを検証するために,以下の3点を検証する。研究課題①学習者が書いたテキストの構成と言語機能がどのように変化するか;研究課題②SFL-GBA準拠ライティング指導で取り入れるタスクとテキスト理解の関係性;研究課題③汎用性の高いSFL-GBA準拠ライティング教授法の開発
【2019年度~2020年度5月まで】 研究課題①②について,申請者は,「教授学習サイクル(Feez, 2002)」を導入したSFL-GBA準拠L2ライティングを15週間実践している。対象者数は各年n = 90であり,英語能力高低別で5グループである。SFL-GBA準拠ライティング教授法を実践する際,「教授学習サイクル(Feez, 2002)」を導入したL2ライティングクラスの中で実践している。目標ジャンルテキストに関する理解度を確認するためのアンケートデータ,学習者が書いた目標エッセーデータを前・中・後半の3回分を分析している。SFL-GBAをベースとしたL2ライティング用のルーブリック評価法(Pessoa, Mitchell, & Miller, 2018)を作成している。 研究課題③について,SFL-GBA準拠ライティング教授法を多くの教員に認知してもらうため,分析結果を国際学会で発表および論文を発行するだけではなく,研究協力者の力を得て,定期的に勉強会および研究会を開催し,専門研究者を招聘した。SFL-GBA準拠ライティング及び言語学のさらなる発展のため専門家を招聘しシンポジウムを開催した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究課題①学習者が書いたテキストの構成と言語機能がどのように変化するかを検証するために,2019年度と2020年度はSFL-GBA準拠と教授学習サイクルを導入したL2ライティングクラスを継続して行っている。2020年度はCOVID-19の影響により,通常クラスルームをベースとしたL2ライティング実践ではなく,オンライン授業により2019年度と類似した授業を実践していく。さらに,L2ライティング,アンケート及びインタビューデータの収集及び分析も継続して行う。
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Causes of Carryover |
当該助成金が生じた状況について,関係書籍等が予定通りに支出できなかった為。
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