2021 Fiscal Year Research-status Report
第二言語ライティング教授法と評価:ジャンル・アプローチと教授学習サイクル
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19K13278
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
長尾 明子 龍谷大学, 国際学部, 准教授 (60570124)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Genre-Based Approach / Teaching-learning cycle / Academic Literacy / 選択体系機能言語学(SFL) / L2 Writing |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は, 第二言語ライティング学習者がどのように新人から,経験ある書き手に移行するかを縦断的に調査する。Sydney Schoolのジャンルベースドアプローチ(GBA)ライティング教授法の中に組み込まれている「教授学習サイクル」が英語学習者のエッセー構成や語彙選択の理解にどのように影響を与えるかを検証する。教授学習サイクルは, 5 つの学習ステージがあり,各ステージの言語学習活動が異なる。教授学習サイクルは, 英語学習者のテキスト構成と語彙選択の理解を高めるのに効果的な指導法であるとされる。しかし,その効果を科学的に検証した研究は限定的である。 はじめに, 過去の先行研究:教授学習サイクルGBAライティング研究(2000~2020)(n= 38)の系統的レビューを行った。教授学習サイクルを取り入れたGBAライティング研究のアプローチはcase study、classroom action research、ナラティブリサーチが一般的であった。アンケートデータ解析の傾向は、授業介入後にデータを収集し教授学習サイクルの教育フレームワークとGBAの有用性について考察する傾向が見られた。英語学習者が書いたエッセーの解析傾向は、ルーブリックを用いたスコアリングやアノテーションであった。 次に, 本研究の実証研究では, 日本人大学生を対象に15週間, 教授学習サイクルが組み込まれたGBA英語ライティング指導を実施した。英語学習者は各ステージ終了後にアンケー トとインタビューを実施した。アンケート分析結果は, 教授学習サイクルの第2ステージ「モデルテキストの理解」にて目標ジャンルテキストの構成や特徴を分析する活動及び,第3ステージ「共同組立」にて, 教師に導かれて学習者が目標ジャンルテキストの文章を書く練習,特に教員からのフィードバックと書き直し活動に関して英語学習者からの高い理解が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は, 第二言語ライティング学習者がどのように新人から,経験ある書き手に移行するかを縦断的に調査する。Sydney Schoolのジャンルベースドアプローチ(GBA)ライティング教授法の中に組み込まれている「教授学習サイクル」が英語学習者のエッセー構成や語彙選択の理解にどのように影響を与えるかを検証する。教授学習サイクルは, 5 つの学習ステージがあり,各ステージの言語学習活動が異なる。このサイクルは, 英語学習者のテキスト構成と語彙選択の理解を高めるのに効果的な指導法であるとされる。しかし,その効果を科学的に検証した研究は限定的である。 はじめに, 過去の先行研究:教授学習サイクルGBAライティング研究(2000~2020)(n= 38)の系統的レビューを行った。教授学習サイクルを取り入れたGBAライティング研究のアプローチはcase study, classroom action research, ナラティブリサーチが一般的であった。アンケートデータ解析の傾向は, 授業介入後のデータ収集,教授学習サイクルの教育フレームワークとGBAの有用性について考察していた。英語学習者が書いたエッセーの解析傾向は、ルーブリックを用いたスコアリングやアノテーションであった。 次に, 本研究の実証研究では, 日本人大学生を対象に15週間, 教授学習サイクルが組み込まれたGBA英語ライティング指導を実施した。英語学習者は各ステージ終了後にアンケー トとインタビューを実施した。アンケート分析結果は, 教授学習サイクルの第2ステージ「モデルテキストの理解」にて目標ジャンルテキストの構成や特徴を分析する活動及び,第3ステージ「共同組立」にて, 教師に導かれて学習者が目標ジャンルテキストの文章を書く練習,特に教員からのフィードバックと書き直し活動に関して英語学習者からの高い理解が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究課題1:学習者のエッセー構成の理解と言語的特徴の選択の変化を検証するために, 申請者は,GBA準拠ライティング教授法を取り入れた授業を15週間実施した。英語学習者が書いた事前・事後・遅延テストエッセーデータを評価する為, GBAルーブリック評価法を作成した。その後,英語能力高・低グループから各5名選出し,半構造化インタビューを実施した。エッセーデータの解析はおおむね終了した。今後の課題は, 英語学習者とのインタビューを対象にテーマテック分析を使って解析をすることである。さらに, 英語学習者が書いた事前・事後エッセーデータの比較分析データを解析し, 学習者の英語ライティング能力がどのように変化したかを縦断的に分析する。 さらに, 研究課題3:オーストラリア国内で教鞭をとるGBA言語教育者を対象に,アデレードインターナショナ ルスクールにて授業観察または実践教員にインタビューを実施する。 最後に, Mickan & Lopez (eds.) (2017) Text-Based Research and Teaching: a Social Semiotic Perspective on Language in Useの一部のチャプターを翻訳し出版するための準備を行う。
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Causes of Carryover |
2021年度は2020年度に引き続き,COVID 19 のため当初計画していた国際学会の為の旅費支出が限定的であった。さらに, COVID19のため, 人件費や謝礼に関して当初計画していた通りに実施することができなかった。渡航制限があり従来のように頻繁に海外及び国際学会発表のための出張が実施しにくい状態ではあるが, 2022年度は, 研究成果を発表する機会をできる限り確保する; L2ライティング研究会や講演会へ積極的に参加する;さらに, これまでの研究結果を国際学会誌やブックチャプターにて公表できるように, 学会誌論文執筆に大幅な時間をかけることを2022年度の研究目標とする。
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