2019 Fiscal Year Research-status Report
A cross-sectional study of the acquisition of English resultative constructions and passive constructions by Japanese EFL learners
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19K13284
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Research Institution | Kobe City College of Technology |
Principal Investigator |
平野 洋平 神戸市立工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (40803151)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 結果構文 / 転移 / 移動構文 / 様態 / 第二言語習得 |
Outline of Annual Research Achievements |
母語と対象言語における動詞の項構造の現れ方の違いが対象言語の習得に与える影響は、第二言語習得研究の分野における大きなテーマであり、より多くの研究が必要とされる。本研究は、日本語を母語とする英語学習者を対象に、英語の結果構文と受動構文の習得の検証を行うものである。 まず、大学生の日本人英語学習者を対象に英語の結果構文と移動構文に対する容認性判断を調査し、その結果ならびにその判断に影響を及ぼす言語的要因を報告した(2019年8月、British Association for Applied Linguistics, The 52nd Annual Meeting(Manchester Metropolitan University)にてポスター発表)。これら両構文は日英語間の言語類型論的特性の差異を反映している代表的な構文である。結果構文は、移動構文に比べ、インプットに含まれる量がはるかに劣ると考えられる。しかし、両構文を日本語の類型論的特性が反映されるように書き換えた英文に対する容認性判断を調査したところ、いずれも同様に過剰に容認する傾向が確認された。これにより、学習者が自然な英語表現をある程度習得しても、母語の影響を受け続けることを示す新たな証拠を提供できた。 次に、結果構文の産出面を調査する上での手法を確認・修正するために位置付けた研究として、高等専門学校の学生(1年生)を対象に英語の移動表現を産出する際に、移動の「様態」をどのように表す傾向が見られるかについて調査し、その結果を報告した(広島大学英語教育学会学会誌「英語教育学研究」2020年2月採択、2020年6月公開)。母語の影響という点において、容認面での研究結果との類似性が見られなかった。また、学習者の移動様態の表現の特徴を踏まえ、具体的な指導法についても言及した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上記のようにそれなりに研究は進んでいるが、当初予定していた全ての実験の準備が十分には進められてるわけではない。これには大きく2つの理由がある。1つは、研究面以外の業務に想定していた以上の時間や労力をさかなければいけない時期が多かったこと。また、新たに入手した論文や新たに発表された論文により、先行研究の論点を見直し、再度整理する必要が出てきたことも影響している。 年度末に、結果構文と受動構文の容認面を調査する実験の一部実施を予定していたが、COVID-19の影響で実施することができなくなった。日程などを再度調整する必要があるため、現在実験実施の見通しが立っていない状況である。この点も進捗の遅れに影響している。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、新たに入手した論文ならびに新たに発表された論文の内容を早急に確認し、これまでに把握している先行研究を含めて、論点の見直しや再整理を進める。これについては、これまで理論言語学的な分野や(狭義での)第二言語習得の分野の先行研究に焦点を当ててきたが、英語教育などの実践面における先行研究についての報告内容を把握することが十分ではなかった。理論面と実践面の双方に対して貢献のできる研究につなげるために、この作業は丁寧におこなっていく必要があると考えている。 それと合わせて実験の内容を精査する必要がある。当初、学習期の異なる学習者を対象に、容認面と産出面両方の実験を同じ時期にまとめて実施することを検討していたが、COVID-19の影響もあり、しばらくは現実的ではないように思われる。段階的な実施をする方向で調整を進める。それに応じて、1つ1つの実験内容を丁寧に再検討する必要があると考えている。
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Causes of Carryover |
予定していた実験の内のいくつかが実施できなかったことが主な理由として挙げられる。本年度は、実験に必要な人件費・謝金、文献収集の費用、複数の学会参加・発表のための旅費,および,論文校正にかかる費用として研究費を使用する計画である。
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Research Products
(2 results)