2019 Fiscal Year Research-status Report
Extensive Viewing and Vocabulary Learning
Project/Area Number |
19K13294
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
日高 佑郁 鹿児島大学, 総合科学域総合教育学系, 助教 (60782539)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 英語教育 / 語彙学習 / 多視聴 / 偶発的学習 / 動画教材 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、英語の多視聴(extensive viewing)活動が語彙学習に与える影響を調査し、多視聴による語彙学習を効果的に促進するための方法を提案することを主目的とする。具体的には、1)多視聴は、語彙知識のどの側面の偶発的学習に効果があるか、2)多視聴による偶発的語彙学習を補完するにはどのようなタスクが効果的か、という2点について調査と検証を行う。研究の初年度である令和元年度は、研究の前提として、被験者(大学生)のニーズ、また、レベルに添った視聴の教材を選択する必要があるため、実験に使用する教材の候補となる教育的な内容の動画の調査を行った。 教材の選択においては、誰もが無料でアクセス可能であり、教育的内容かつその情報の信頼性が高いものを条件として、専門家の監修を経て作成されWeb上に無料公開されているTED-Ed Animationsの動画群を候補とした。この動画群に含まれるテキストを、ジャンル毎に語彙分析プログラム”RANGE program” (Nation & Heatley, 2002)にかけて、動画にどのような語彙が使用されているのか、語彙の種類や、頻度に基づく語彙の難易度を詳細に解析した。結果として、TED-Ed Animationsの語彙の難易度は他の教育的内容の動画(大学の講義やTED Talks)と同等であるが、語彙の種類としては、学術語彙を比較的多く含む傾向にあることが判明した(ジャンル別に多少の差異あり)。 TED-Ed Animationsの動画の長さは4~5分で、英語学習教材として人気の高いTED Talksと比較すると短いため、繰り返し視聴することで同じ単語と触れる機会が増える。教育的な内容で知識を深められる点に加えて、学術語彙を多く含むため、大学生が英語の自律学習を行う際にこれらの動画を活用することで、学習効果を得られる可能性が高い。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年度中に調査予定であった教材の語彙レベルの調査が計画通りに完了した。年度内に被験者(大学生)の語彙レベルを確認することができなかったが、令和二年度の研究の予備調査として当該調査を実行予定で、先行研究の整理も順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画当初は、令和二年度は多視聴が語彙知識のどの側面の偶発的学習に効果があるかを検証する予定であった。しかしながら、学習者にとって適切な多視聴の教材を選択する上で、教材の語彙レベルに加えて、多視聴に必要となる語彙のカバー率(テキスト中におけるどの程度の割合の語彙を知っていれば、内容を適切に理解できるか)をまず明らかにしなければならないことが、調査を進めるに従い明らかになった。よって、多視聴に必要となる語彙のカバー率の調査を先行して行い、その後は計画通りに調査を進めることとする。
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Causes of Carryover |
当初購入を予定していた動画の編集用のソフトウェアや書籍について未購入のものがあるため、令和二年度に購入を検討している。人件費については、RAではなく学生アルバイトを雇用したため、当初の計画よりも経費が少なくて済んだが、研究デザインの修正によって次年度以降に生じる人件費や謝金に使用するため、予算を繰り越すこととした。旅費に関しては、台風やコロナウイルスの蔓延の影響により出張計画に変更を加えため当初予定よりも執行額が大幅に少ないが、次年度の学会参加費等に補填して使用する予定である。
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