2020 Fiscal Year Research-status Report
英語学術講義のムーブ分析に基づくEAPリスニング教材の開発
Project/Area Number |
19K13295
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
細越 響子 京都府立大学, 文学部, 准教授 (40750576)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | EAP / アカデミックリスニング / 講義 / ムーブ分析 / メタ談話標識 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、学術目的の英語(English for Academic Purposes: EAP)の音声言語の論理展開を明らかにすることで、談話レベルの把握に焦点をあてたEAPリスニング教材を開発することを目的とする。具体的には、英語学術講義ジャンルを取り上げ、その修辞的展開についてムーブ分析を行いて検討する。2020年度は以下のことを行った。 1.英語学術講義のムーブ分析:まとまった長さの英語講義の事例として国内外のEAP研究で援用されることの多いミシガン米口語コーパス(MICASE)の講義を対象に談話展開の分析を行った。MICASEより大規模講義のスクリプトを選択し、Hyland (2005)のメタ談話標識(Metadiscourse markers: MDM)リストを基準にムーブ構造を抽出し文脈に考慮したMDMタグ付与を進めることができた。 2.講義の言語分析手法の再検討:1の分析を遂行するために講義の話者やテクストの分類基準について再検討を行った。講義中の複数話者による発話の分析法についてはAguilar (2008)をはじめとするメタ談話分析の先行研究を参照して設定した。講義中に出現するフィラーやポーズなどのパラ言語的情報の分類についてはCamiciottoli and Fortanet-Gomez (2015)のマルチモーダル談話分析の手法を手がかりに基準を検討した。そのうえで多層的なアノテーションを付与するためのソフトウェアを選択し、分析を試行した。 3.関連学会への参加:国内外の関連学会に参加し、オンライン講義の導入が急速に進む昨今の社会的情勢をふまえ、高度な学術講義に対応できる英語聴解能力の育成がEAP教育の喫緊の課題であることを確認し、本研究の教育的意義を再認識した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、まとまった長さの英語講義の事例としてMICASEの学術講義スクリプトを対象とし、メタ談話標識にタグを付与することでムーブ分析を進めることができた。一方、複数話者による発話やパラ言語的特徴の分類という新たな課題が見つかったため、先行研究を蒐集しアノテーション付与の手法を再検討する必要が生じた。
|
Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、前年度まで独立して検討を進めてきたTED TalksおよびMICASEの英語講義を対象とするムーブ分析の結果を比較することで、学術講義ジャンルの典型的な談話展開を考察する予定である。 2020年度に新たに採用した講義中の複数話者やパラ言語的情報に関するアノテーション手法を生かし、2021年度は各講義コーパスの類似性や特徴的に出現するムーブ展開を個別に分析することで、学術講義における典型的な談話展開と共起表現を整理することを目指す。
|
Causes of Carryover |
国際学会および国内学会参加のための旅費を想定していたが、昨今の社会的情勢によりオンライン開催となったため、支払いの必要性がなくなった。次年度の旅費に充当する。
関連して、対面での研究活動が制限されていたためデータ入力補助の人件費・謝金を支出できなかった。次年度の人件費・謝金に充当する。
|