2022 Fiscal Year Research-status Report
英語学術講義のムーブ分析に基づくEAPリスニング教材の開発
Project/Area Number |
19K13295
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
細越 響子 京都府立大学, 文学部, 准教授 (40750576)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | EAP / アカデミックリスニング / 講義 / ムーブ分析 / メタ談話標識 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、学術目的の英語(English for Academic Purposes: EAP)の音声言語ジャンルのひとつである学術講義のムーブ分析を行うことで、その修辞的展開の典型性を解明することを目的とする。その上で、談話を把握する能力に着目したEAPリスニング教材の開発を目指す。 従来のEAPの談話構成に着目した研究は、研究論文をはじめライティング分野においては進んでいる一方、学術講義などのリスニング分野における探究はその途上にある。そこで本研究は、談話構造を示す表現の展開(ムーブ)に焦点をあてて学術論文の修辞的情報を捉えるムーブ分析の手法を、学術講義という音声言語ジャンルの談話構成の解明に応用することを試みた。 過年度までの研究では、メタ談話標識(Metadiscourse markers: MDM)を基準に定め、日本の大学英語教育で近年注目が集まっているオンライン英語講義教材のTED Talksと、国内外の先行研究で使用されることの多いミシガン米口語コーパス(MICASE)の英語講義を対象にムーブ分析を進めた。その際、講義の話者やテクストの分類基準については、メタ談話分析やマルチモーダル談話分析の先行事例を手がかりに設定した。また約450種類のMDMの代表性についても質的に検討し、自己言及(Self Mention)や転換標識(Transition Markers)などのカテゴリごとに論理展開を典型的に反映するMDMを選定した。その上で、2つの大規模な英語講義コーパスについて談話分析を行った。 2022年度は育児休業の取得に伴い研究を中断したため、同年度に実施予定だった研究計画については、研究期間を1年間延長して次年度以降に着手することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度は育児休業の取得に伴い研究を中断したため、同年度に実施予定だった研究計画について遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間を1年間延長し、同年度に実施予定だった研究計画については次年度以降に着手する予定である。 具体的には、2021年度まで独立して研究を進めてきたTED TalksおよびMICASEの英語講義を対象とするムーブ分析の結果を比較することで、学術講義ジャンルの典型的な修辞的展開とそこで頻出する表現の探究を進める予定である。 すでに行ったメタ談話標識の質的検討の成果を活かし、代表性の高いMDMをとりあげて、対象とした2つの講義コーパスにおけるムーブ展開の類似性や、一方に特徴的に出現するムーブを個別に分析する。分析にあたっては、言語コーパス分析に関する先行研究の方法論を参照して作業の効率化を図る。
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Causes of Carryover |
育児休業の取得により研究を中断したため、次年度使用額が生じた。 国際学会および国内学会参加のための旅費や、データ分析の入力補助者への謝金、当該課題に関連する文献の購入や言語分析に使用する消耗品の購入に充当する。
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