2021 Fiscal Year Research-status Report
会話分析により記述された暗黙知を英語教師が利用する方法の開発
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19K13305
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
石野 未架 同志社大学, グローバル地域文化学部, 助教 (20822836)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 応用会話分析 / 教師教育 / リフレクション / 教室インタラクション / 会話分析 / ティームティーチング / マルチモーダル分析 / 英語教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、会話分析による知見を英語教師の実践に活用する方法を開発することである。そしてこの目的を達成するために次の小研究課題を設定している。(1)会話分析によって記述した手続き的知識を教師の実践に必要な知識に簡略化する規則の開発、(2)課題(1)によって簡略化した知識を教師が実際に利用できるようにするための研修プログラムの開発。 これら小研究課題のうち、2021年度は主に(1)の課題の達成を目標に研究活動を行ってきた。(1)の課題については、昨年に分析した知見をまとめて6月の国際学会で発表しており、海外の専門研究者からも助言を得ることができた。この成果は現在論文にまとめて成果として国際誌への投稿準備中である。また、2020年度に得られた会話分析から得た教師の実践に関する2つの知見について、それぞれ国内の英語教育分野の雑誌と海外の教師の実践に特化した分野の学術誌に論文として発表することができた。これに加えて、2020年度から2021昨年度の研究活動で得られたティームティーチング場面における知見と教師の文化的資源の使用に関する知見について、言語教育分野の書籍(論文集)に掲載が決まっているため、研究成果として発表できる予定である。 (2)の課題については、昨年度感染症拡大の世間の状況から中止したワークショップなどを一部で開催することができており、当初の計画に少し近づけることができている。しかし、(1)で明らかにした規則を導入する研修プログラムを実践する機会としては全く充分ではなく、研修プログラムの有効性を検証できるデータの蓄積には至っていない。このため、研究期間を延長することによって更なる機会を設けることを計画している。そうして、充分なデータが集まったところで、現在設計されている会話分析による知見を活かした教員研修プログラムの精緻化を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
令和3年度の研究計画内容は以下の通りであった。 ①英語授業データの分析、②英語教師を対象とした会話分析の知見を活かしたワークショップまたは研修の開催、③ワークショップまたは研修の内容を分析し、プログラムの内容の精緻化をはかる。 上述3点の計画内容に沿って進捗状況を詳述すると、①については、去年度収集したデータは充分ではないものの、分析をすすめている。②については、感染症拡大の状況から対面での研修会やワークショップが中止となり、今後の開催の機会も確保できていない。このため、設計した研修プログラムの精緻化に必要なパイロット研究が行えておらず、精緻化のためのデータを収集できていない。オンライン開催の形態に変えて1度は開催することができたが、参加者も少なく、予定していたようなデータは収集できていない。加えて、オンラインでは設計した通りの研修プログラムを導入することができないため、やはり対面での研修への導入機会を確保する必要があると考えている。 以上の状況から①以外の研究活動は計画より遅れているため、全体として遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究進捗状況の遅れの最大の原因は必要なデータが収集できなかったことと、有益な助言を得られる場である国際学会が多く中止になり参加できなくなったためである。特に不特定多数の教員を対象としたワークショップは感染症が懸念される世相のなかで今後も開催が厳しいと見込んでいる。このため、研修プログラムを一般の英語教員を対象としたものから、教員養成大学等における英語教員志望者を対象とした研修プログラムというものに変更する計画である。教員養成のプログラムへの導入であれば、現在の研究環境でも試験的な導入が可能な条件を確保しており、データの収集が見込めるからである。したがって、当初の研究計画に変更を加え、会話分析による知見を活かした教員養成プログラムの開発を目的に研究活動を行う。この研究計画の変更を反映した研究計画を次に述べる。 令和4年度の研究活動の主軸は次の3つである(令和3年度に進められなかった項目を含んでいるため、令和3年度と似通った研究計画になっている)。①会話分析による知見を導入した研修の教員養成系大学における実施と参加学生への質問紙及び面接調査、②得られたデータの分析及び、分析結果の専門研究者間での精査、③ ①と②の手続きにより改善した教育プログラムを会話分析と教師教育を専門とする研究者が集まる学会で発表し、助言を得る。 ①については、大学の教員養成系の科目において教員志望の大学生を対象とした研修を行う予定で計画を組んでいる。現在すでに導入部分は実施済みであり、今年度に行ったオンラインプログラムの反省を活かすかたちで研修内容にも修正を加える。 ②についてはすでにデータ分析後の発表先として国際学会へ発表を申し込んでおり、秋には海外の専門研究者から助言を得られる予定である。③については、①と②の進捗状況にもよるが、次年度後半には論文にまとめて成果として発表する計画である。
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Causes of Carryover |
当初、研究最終年度では研究成果公開のための国際学会出席用に必要な研究費を計上していたが、世界的なパンデミックの状況から多くの国際学会が中止となったり、オンライン開催となったため研究費を使用する機会を失ったのが大きな理由である。加えて、データ収集の機会も大きく失ったため、当初の計画よりも進行状況が遅れていることも理由である。 次年度はパンデミックの状況においてもデータ収集を確実に行えるよう計画を変更し、これにもとづいて研究活動を進める。また、対面での開催が再開しつつある国際学会にも数件応募を予定しているため、対面開催となった学会への参加費として研究費を使用する計画である。
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Research Products
(7 results)