2022 Fiscal Year Research-status Report
会話分析により記述された暗黙知を英語教師が利用する方法の開発
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19K13305
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
石野 未架 同志社大学, グローバル地域文化学部, 准教授 (20822836)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 応用会話分析 / 英語教師教育 / 教室相互行為能力 / 介入会話分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は会話分析による知見を英語教師の実践に応用する方法を開発することであった。この目的を達成するために2つの小研究課題を設定し、これまで研究に取り組んできた。1点目の課題は、会話分析によって記述した手続き的知識を教師の実践に必要な知識に簡略化する規則の開発することであり、2点目の課題は(1)によって簡略化した知識を教師が実際に利用できるようにするための研修プログラムの開発である。 1点目の課題については、これまで分析した成果のうち1件を2020年度と2021年度の国際学会で成果として発表しているが、それらは2022年度中にそれぞれ国際的な学術雑誌に研究論文として受理され、世界に公開することができている。これに加えて、2020年度から2021昨年度の研究活動で得られたティームティーチング場面における知見と教師の文化的資源の使用に関する知見についても2022年度前半(9月)にCambridge scholars publishingから出版された書籍のBook chapterとして公開することができており、もう一方の成果も2023年度中にRoutledgeから出版される書籍のbook chapterとして公開される予定である。また、簡略化した手続き的知識を教師が利用することのできるように書籍にまとめて2023年2月に公開している。 2点目の課題については、当初の研究計画から遅れながらも現役の大学生などを対象とした教職志望者向けの教育プログラムとして開発を進めている。現段階での成果についてまとめたものを2022年3月の教育工学会で発表しており、2023年2月に出版した書籍の一つの章にも公開している。加えて、当初の計画通りに進められなかった点については新たに当該分野の世界的権威であるスウェーデンの研究者との共同プロジェクトに発展させ、すすめていく計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度の研究活動の主軸は次の3つであった。①会話分析による知見を導入した研修の教員養成系大学における実施と参加学生への質問紙及び面接調査、②得られたデータの分析及び、分析結果の専門研究者間での精査、③ ①と②の手続きにより改善した教育プログラムを会話分析と教師教育を専門とする研究者が集まる学会で発表し、助言を得る。
以上の計画について、②および③についてはおおむね順調に進んでいる。具体的には、これまで分析した成果のうち1件を2020年度と2021年度の国際学会で成果として発表している。これらは2022年度の前半(8月)と、後半(2023年3月)にそれぞれ国際学術雑誌(前者はElsevierのlinguistics and educationから、後者はtaylor and fransisのclassroom discourseから)の研究論文として受理され、世界に公開することができている。これに加えて、2020年度から2021昨年度の研究活動で得られたティームティーチング場面における知見と教師の文化的資源の使用に関する知見についても2022年9月にCambridge scholars publishingから出版された書籍のbook chapterとして公開することができており、もう一方の成果も2023年8月にRoutledgeから出版される書籍のbook chapterとして公開される予定である。したがって、②および③については計画通りに進んでいる。しかし、①の特に質問紙調査については、当初計画していた人数の研究協力者が集められずに計画の軌道修正を行っている。具体的には本研究課題の専門知識を持つスウェーデンの研究者から助言を受け、対象を少数に絞り、介入実験とその後の面接法による調査に切り替えたアプローチである。これについては「今後の研究の推進方策」の項目で詳述する。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題をささえる小研究課題のうち、2点目の課題は簡略化した会話分析による知識を教師が実際に利用できるようにするための研修プログラムの開発であった。この小研究課題については、今後海外研究者との共同研究により更に発展させていく方策である。以下にその理由と推進方策について述べる。 まず、この小研究課題に関する計画については、世界的な感染症の拡大による影響などからも研究計画通りに進められておらず、これまで大きな軌道修正を行ってきた。感染症の影響による大きな問題は、プログラムを試験的に実施するフィールドの確保が困難となって点である。計画を軌道修正していく過程で、当該分野の権威であるスウェーデンの研究者や米国の教師教育機関で研究に従事する研究者から助言を受け、今後更に大きな研究プロジェクトとして発展させていく方向となった。具体的には、国内のフィールドのみで会話分析による教師教育のフィールドを確保する環境設定が難しいため、プログラムの精緻化において国内のフィールドのみでなく、海外の教師養成機関もフィールドに加えて介入会話分析のプログラムを実施していくというものである。そうして、海外研究者と協力しながらプログラムの効果の検証を行い、更に開発したプログラムを精緻化していく計画である。さしあたり、これまで国内で実施したプログラムの分析結果については令和5年度内に国際学会2件で(1件目は2023年5月に国内開催のもの、2件目は6月から7月にかけてオーストラリアで開催されるものである)発表し、専門研究者からの助言を得て学術論文としてまとめる予定である。これらの成果に対する海外研究者からの反応を観察しなが、今後の国際的な研究プロジェクトの具体的な方策を検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
世界的なパンデミックの状況から多くの国際学会が中止となったり、延期となったのが大きな理由である。加えてデータ収集の機会も大きく失ったため、当初の計画よりも進行状況が遅れていることも理由である。 次年度は対面での開催が再開しつつある国際学会で数件発表を予定しているため、対面開催となった学会への参加費として主に研究費を使用する計画である。
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