2022 Fiscal Year Research-status Report
東アジア君主制国家における臣下服喪儀礼の比較史的研究
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19K13320
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山下 洋平 九州大学, 人文科学研究院, 専門研究員 (40737243)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 喪礼 / 服喪 / 喪服 / 君臣 / 王権 / 官僚制 / 氏族制 / 日中比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は、令和2、3年度で得た二つの視点、すなわち、日本の臣下服喪儀礼における官僚制的秩序の反映具合、日本固有の氏族制的要素が中国的喪礼受容に与えた影響を考慮して、これまでの臣下服喪儀礼研究の成果を見直した。その結果、以前から主張してきた多元的な君臣・主従関係の許容、および、臣・民区別のない王権への奉仕という喪礼における日本的特質の背景をより多方面から説明することができた。 次に、日本の臣下服喪儀礼状況を、①服喪する者が着用する素服、②服喪しない者が軽い慎みを表すために着用する諒闇服(心喪服・軽服)の使い分けを明確化した上で再確認した。その結果、平安時代、とりわけ、院政期の貴族社会では、以前認識した以上に喪礼装束①②の使い分け規定が遵守されていたことが明らかとなった。その他、「素服」という語句そのものについても見直しを行った。その結果、わずかではあったが、「素(服)」という語句が上記①のような喪服ではなく、中国のように軽い慎みを表す喪礼装束(上述の諒闇服・心喪服・軽服等に相当)として表記された事例を確認することができ、当該事例での喪礼状況をより正確に復元することができた。 なお、上記のような新視点からの見直しや事実関係の再確認を行い、これまでの臣下服喪儀礼研究の成果をまとめた『日本古代国家の喪礼受容と王権』(汲古書院)の出版を予定している(令和5年度研究成果公開促進費の助成による)。 その他、中国南朝の礼制、喪礼を考察する上で必要な史料、研究図書の購入を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以前から課題であった中国南朝の喪礼については、一部の関連史料や文献の収集にとどまっており、また、新型コロナウイルス感染症の影響で遠方への史料調査や資料館・博物館等への来訪が行えていない点では次年度に課題を残すこととなった。しかし、これまでの臣下服喪儀礼研究の成果を近年獲得した新たな視点から見直し論文集にまとめることができたこと、また、出版の見通しも付いたことは一定の成果と判断できる。したがって、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、論文集の入稿に向けて原稿の最終調整を行う。次に、中国南朝の喪礼状況を調査するために、引き続き関連史料や文献の収集を行い全容の把握につとめるとともに、これまで明らかにしてきた北魏、あるいは古代日本の喪礼との比較検討を行う。 また、必要に応じて喪礼・礼制関係史料の調査や資料館・博物館への来訪を行う。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、新型コロナウイルス感染症の影響で研究会(対面)が中止されたこと、遠方への史料調査、資料館・博物館等への来訪が行えなかったことによる。また、令和4年度の研究が、これまでの成果の見直しや総括中心であったため、新たな史料や関連文献の購入が比較的少なかったことにもよる。 次年度使用額は、関係史料・文献の収集、プリンターや電子辞書等ツールの購入、再開の有無にもよるが、研究会への参加、遠方(東京方面等)への史料調査、資料館・博物館への来訪、学会への参加等に使用する予定である。
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