2019 Fiscal Year Research-status Report
Reconstructing the History of Journalism in the Meiji Era: The Case of Nippōsha
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19K13325
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岡安 儀之 東北大学, 文学研究科, 助教 (50732351)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 『江湖新聞』 / 『東京絵入新聞』 / 錦絵新聞 / 洋学者 / 戯作者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、いまだ実態のつかめていない明治期の主要新聞であった『東京日日新聞』とその発行元である日報社の活動を解明し、日本社会にいかにして「公論」という政治文化が形成されていったのかを明らかにすることである。その方法として本研究では、日報社社員及び、日報社と関連のある政府関係者の資料調査を行い、日報社という組織の全体像に迫る。研究初年度に当たる本年度は、『東京日日新聞』創刊時のメンバーと小新聞に分類される『東京絵入新聞』、錦絵『東京日日新聞』などの出版に関係した近世出版業界からの系譜の調査を中心に実施した。具体的には以下の通りである。 (1)町田市立自由民権資料館と東京大学大学院法学政治学研究科附属近代日本法政史料センター(明治新聞雑誌文庫、原資料部)への資料調査を実施した。近代日本法政史料センターでは、『東京絵入新聞』の明治8年~10年までの複写を行った。 (2)収集した資料の整理と目録の作成。 (3)日報社の社長を務めた福地源一郎(1841~1906)が幕末に創刊した『江湖新聞』と収集した『東京絵入新聞』などの分析を進めるとともに、幕末維新期の戯作者たちの活動と洋学者との関わりについて調査を進めた。江戸から明治への転換期に、戯作に変わる分野を開拓し、生き残りに試行錯誤する戯作者とジャーナリズムとの関わりがどのように展開していくのか理解を深めることができた。 (4)成果報告として、東北大学日本思想史研究会において「新聞の近代化と日報社」というテーマで、さらに東京大学東アジア藝文書院(EAA)・ジャーナリズム研究会において「近代新聞の形成――福地源一郎とその周辺に注目して」というテーマでそれぞれ研究発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に予定していたのは、日報社の関係者の中でも、近世出版業界からの系譜に連なる人々について調査分析することであった。新型コロナウイルスの影響により、資料調査に行けないトラブルに見舞われたが、その時間を収集した資料の整理や分析にさくことができた。結果的に、当初予想していなかった新たな展望も獲得できた。 以上のことから、今年度の研究計画はおおむね達成できており、本研究は順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に引き続き、日報社の関係者の資料調査を進めていくが、次年度はその範囲を広げ、政論新聞である『東京日日新聞』の発行に携わった記者の調査を行っていきたい。具体的には、岸田吟香(1833~1905)や海内果(1850~1881)らの関係史資料を収集分析し、日報社がジャーナリズム史において果たした役割を明らかにする。そして、順次研究成果を公開(研究報告・論文)していく予定である。
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Causes of Carryover |
3月に行うはずであった資料調査と東北大学の大学院生に依頼する予定であった資料整理が、新型コロナウイルスの影響で実施できなかった。また、購入予定であった備品も、本年度に関しては他のもので代用できたため、その必要がなくなった。そのため、旅費・謝金・物品費の使用額に差額が生じた。 以上のように、本年度の使用額と予定額との間に差額が生じたが、研究計画を大幅に修正するものではない。次年度以降、計画通り有益に使用させていただきたい。
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Research Products
(2 results)