2019 Fiscal Year Research-status Report
近代日本の禁酒運動と教育・メディア―日本禁酒同盟資料館旧蔵史料を対象に
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19K13353
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
横山 尊 九州大学, 比較社会文化研究院, 特別研究者 (20712152)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 禁酒運動 / 教育 / メディア / 日本国民禁酒同盟 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の遂行のため、2019年8月、9月に東京都の武蔵野大学(日本禁酒同盟資料館旧蔵資料を保管)を訪れ、学生排酒聯盟関係の資料などを中心とした禁酒運動関係の資料の収集に努めた。同時に青山学院大学資料センターで日本禁酒同盟が刊行した媒体『国の光』のバックナンバーの写真撮影を行うなど、関係資料の収集に努めた。また、9月、12月は、この『国の光』誌を国内で最も多く所蔵する東京都の安藤記念教会を訪れ、同誌のバックナンバーの写真撮影を行った。さらに、現在、日本国民禁酒同盟が刊行した『禁酒新聞』の目次のデータベースも作成している。 論文としては、現在、新修宗像市史編集委員会で新修宗像市史の作成にも関わっていることもあり、「福岡県の禁酒運動と宗像―福岡県禁酒聯盟の結成まで」(『宗像市史研究』3号、2020年3月)を執筆した。明治から昭和初期の日本禁酒同盟や後継団体の日本国民禁酒同盟の刊行した媒体の福岡県の情報を基に、旧宗像郡をはじめとした地域史料を加味し、禁酒会の地域間のコミュニケーションの動向やと日本禁酒同盟や日本国民禁酒同盟などのメディアの役割を論じた。本論文に関連して、2020年2月15日に、日本医史学会福岡地方会で、研究報告「福岡県の禁酒運動と医学者」を行った。 また、2019年12月11日に大原社会問題研究所月例研究会で、研究報告「深川正夫の労務管理思想とその実践―三井三池労務管理から大日本産業報国会参画へ」を行った。深川は、三井鉱業所、本店で労務管理を担当し、大日本産業報国会錬成局長、戦後は労働組合法の立案にも参画した人物である。その労務管理は禁酒運動とも結びついた、生活への微細な介入を特徴としており、本報告はそうした労働の能率増進(合理化)と日本主義の融合による労働者動員のあり方も考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要にも記したとおり、日本禁酒同盟資料館旧蔵資料などの史料の収集は順調であり、その中の学生排酒聯盟関係の資料などを中心とした禁酒運動関係の資料の読解も進めている。同時に青山学院大学資料センター、安藤記念教会における日本禁酒同盟の会誌『国の光』のバックナンバーの写真撮影も順調である。加えて、日本国民禁酒同盟が刊行した『禁酒新聞』の目次のデータベースも作成している。これらを基礎にした、論文や研究報告などの成果も実際に出している。 ただし、2020年2~3月以降は、コロナウィルスによる図書館などの閉鎖や東京をはじめとした県外へのアクセスなどの問題に悩まされている。その影響もあり、進捗状況の評価区分は(2)としておく。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、高等教育機関における禁酒を推進した、日本学生排酒聯盟に関する史料の収集と読解、それに基づく研究発表や論文の準備に本格的に取り掛かりたい。 同聯盟については、『禁酒之日本』、『禁酒新聞』、さらに聯盟独自の会誌『無酒国』、さらに日本禁酒同盟資料館の旧蔵史料(2016年に武蔵野大学に移動)には、学生排酒聯盟を対象にした資料群もあり、それらから、活動の概要が解明できる。その際、結成の経緯の詳細、どの学校出身者が中心を占め、どのように周辺学校を活動に取り組んだか、それぞれの学校の排酒団体ではどのような活動が行われたかを明らかにしていく。 聯盟の顧問の一人は、米国学生排酒聯盟(Intercollegiate Prohibition Association:IPA)の中心人物の一人、M=R=ショウ(Mark Revell Shaw)で、『禁酒之日本』などにも複数の論説を残している。同団体など海外団体の影響や交流についても分析したい。 1932年段階で、日本学生排酒聯盟の加盟団体は81を数えたが、加盟団体の独自の行動、活動の学校内での反応も探る必要がある。そのため、中心となった早稲田、青山学院、立教などに加え、京都大や北海道大など旧帝国大学の大学文書館や大学資料室の所蔵史料も探索する。 関連して、日本国民禁酒同盟が刊行した『のぞみの友』を分析し、いかに同盟が児童を禁酒運動に包摂したかを考察する。加えて、婦人矯風会の少年禁酒軍の動向も解明したい。これは禁酒同盟関係史料に加え、『少年新報』、矯風会の会誌の『婦人新報』を使用する。
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Causes of Carryover |
歴史的資料の収集は大量に行っているものの、デジタルカメラによる撮影が主である。そのため、資料の複写費用が節約できた。 ただし、次年度も物品、図書購入、調査旅費、業者への支払いなどの出費が多い。よって、次年度使用額は、まず、それらに充てられることになる。
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Research Products
(3 results)