2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K13361
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
渡井 葉子 中央大学, 人文科学研究所, 客員研究員 (40752382)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | メソポタミア / 女性 / 社会経済 / バビロニア / アケメネス朝 / プロソポグラフィー / 楔形文字学 / アッシリア学 |
Outline of Annual Research Achievements |
①4月8-10日にベルギーのヘント大学で開催された古代西アジアにおけるジェンダー研究に関する国際研究集会("Third Workshop on Gender, Methodology and the Ancient Near East")において口頭発表(英語)を行った。紀元前6-5世紀のバビロニアの女性の、家族内での経済における役割を考察した。発表内容をまとめた論文は、2020年出版予定の論文集に掲載される。 ②7月8-12日にフランス・パリで開催された「国際アッシリア学会」において、前6世紀頃のバビロニアの一族の家に関して口頭発表(英語)を行った。現在、論文を準備中である。 ③2月後半から3月のはじめにかけてパリに滞在し、ナンテール(パリ近郊)の研究所Maison d'Archeologie et Ethnologie (UNRS)において資料収集および研究打ち合わせを行った。当研究所では紀元前1千年紀バビロニアの膨大な数の文書を翻字・翻訳してオンラインで公表するサイトAchemenetを進めており、彼らと連携をとることによって多くの文書の情報を得ることが期待できる。また研究に関するアドバイスを受けることもできた。 ④3月26-27日、国際シンポジウム"Historical Studies on the Rule of Provinces in the Ancient Near Eastern Empires"(東京・立教大学)において、ネブカドネザル2世の地中海沿岸地域支配に関して研究報告を行う予定であったが、感染症の流行により、オンライン上で発表原稿を参加者間で共有するという形式となり、原稿を提出した(英語)。論文集の出版が決まっており、現在論文を準備中である。 (5)上記以外に、海外の専門雑誌に論文(英語)がアクセプトされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は、国際的な研究集会で3回研究発表を行い、業績(アウトプット)の点ではおおむね順調に進んでいると考える。とはいうものの、基礎作業(女性に関するデータベース入力)をもう少し進めたかったという反省があり、2020年度はどちらかといえば基礎作業に集中したいと思っている。
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Strategy for Future Research Activity |
①2020年5月末までに3本の研究論文(英語2本、フランス語1本)を執筆する。②6月以降、紀元前7世紀後半-紀元前5世紀初めのバビロンの女性(とくに傑出した私的企業家の一族エギビ家の女性)の活動・経済的役割に関するデータを整理する。この作業を今年度中に行い、来年度以降データに論考を付して英語での学術書の出版を目指す。③中央大学人文科学研究所所属の若手研究者と、論文集『歴史の中の個と共同体』(仮題、中央大学人文科学研究所叢書)の出版企画に参加している。この論文集にエギビ家の女性が一族の中で果たした経済的役割に関する論考を寄稿する。そのために、今年度後半に人文科学研究所の研究チームでの研究会で報告を行う。来年度前半に執筆、来年度末までに出版予定である。④(もし中止にならなければ)9月開催予定のシュメール研究会、通常は10月に開催予定のオリエント学会で研究報告を行う。『オリエント』に論文を発表する。
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Causes of Carryover |
3月末に研究集会での発表のため英文校閲が必要であり、そのために確保した。したがって手続き上は次年度使用になったが、実際には年度内に使用した金額である(英文校閲費は40778円で、この額より大きい)。
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