2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K13361
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
渡井 葉子 中央大学, 人文科学研究所, 客員研究員 (40752382)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | メソポタミア / バビロニア / 女性 / ジェンダー / 西アジア / 楔形文字 / アッシリア学 / 社会経済史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画では、紀元前7世紀後半から紀元前5世紀初めのバビロニアの女性の経済的立場・活動の体系的研究を目的としている。 2021年度は、論文集『歴史の中の個と共同体』(中央大学人文科学研究所叢書77、松本悠子・三浦麻美編著、中央大学出版部、2022年2月)において論文「前1千年紀バビロニアの都市民の家族における女性の役割」を出版した。対象とする前1千年紀バビロニアの文書に登場する女性たちの全体像をまとめると同時に、バビロン市の大財閥エギビ家や、都市富裕層ではあるが規模的にエギビ家ほどではないいくつかの一族の女性たちの状況を比較検討し、都市に居住する女性たちの所有する財産とその運用、それが夫や家にどのような影響を与えたか等、家における経済的役割について体系的に論じた。なお、この論文の内容に関して海外の研究者の評価を得るため、2022年6月に行われる古代西アジア世界のジェンダー研究に関する国際シンポジウム(ヘルシンキ)で発表を行う。 基盤となるデータベースは作成中であるが、科研費で購入したパソコンが複数回にわたって故障したため、度重なる中断を余儀なくされた。 紀元前1千年紀バビロニアの文書のインターネットサイトAchemenet.comでの公開(翻字・翻訳・基礎情報・参考文献等)を行うフランスの研究グループThe study group Deciphering the Achaemenid Corpus (DCA), UMR 7041 - Archeologies et Sciences de l’Antiquite (ナンテール、フランス)に参加しており、文書の解読および参考文献調査等を分担した。こうした文書には当該時代・地域の女性に関するものも含み、本研究計画の基盤ともなっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍により、海外渡航ができず、参考資料収集や海外の研究協力者との研究打ち合わせが難しい状況にあった。後者に関してはオンライン会議も増えてきたものの、実際に会わないと進まない話もあると感じている。また、これまで海外の出版作業の中断・遅延があり、徐々に再開しているものの、提出した論文がなかなか出版されないという状況がある。さらに科研費で新しく購入したパソコンがこの1年に複数回にわたって故障、そのたびに対応・修理の必要があり、度重なる中断を余儀なくされた。これはなかなかのストレスであった。
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Strategy for Future Research Activity |
①6月に、国際シンポジウムThe Fifth Workshop on Gender, Methodology and the Ancient Near East (GeMANE 5), Helsinki/Zoom (1-3rd of June 2022) にオンラインで参加し、研究発表 "Wives’ Involvement in the Economic Sphere of Urban Families in 1st Millennium Babylonia" を行う。 ②前1千年紀バビロニアの都市民の家族における女性の役割に関する英語論文を執筆する。 ③9月頃には、現時点で出版されている文書に登場する女性のデータベースを完成させ、インターネット上(「研究業績の概要」で言及したAchemenet.com)での公開と、学術書執筆に着手する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により海外渡航ができなかったため。2022年9月以降に資料収集等のため海外渡航を予定している(フランス、パリの予定)。また科研費で購入したパソコンに不具合が多かったため、当該パソコンの処分を所属機関の担当部署に委託の上、再度パソコンを購入する。
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