2022 Fiscal Year Annual Research Report
監獄のアーカイブ形成と歴史認識-近代のアジアにおける英領植民地と日本を事例として
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19K13363
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮本 隆史 大阪大学, 大学院人文学研究科(外国学専攻、日本学専攻), 講師 (20755508)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 監獄 / アーカイブ / 歴史認識 / 歴史叙述 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、8-9月および3月にパーキスターンに渡航し、文書館や資料館の現地での資料調査を行なうことができた。すでに入手していた資料の分析に加えて、渡航時に資料を閲覧し分析を行なった。具体的には、英領インドの監獄関係文書に加えて囚人による書き物を閲覧することができた。また、近代日本の監獄関係文書および囚人による書き物の検討も行なった。9月には網走監獄博物館および月形樺戸博物館を訪問し、学芸員の方々に展示方法等についてヒアリングすることができた。 英領インドについては、北インドの北西州とパンジャーブ州を中心に、監獄関係の公文書の分析を進め、特に年次報告書や監獄総監の書簡の検討を前年度より継続した。また、囚人による書き物の検討として、前年度から継続しているムハンマド・ジャアファル・ターネーサリー(1838-1905年)のウルドゥー語による書きもの『奇妙な歴史:ポートブレアの歴史(Tarikh-e Ajib: Tarikh-e Port Blair)』、『奇妙な歴史:黒い水(Tawarikh-e Ajib: Kala Pani)』、『奇妙な歴史:アフマド伝(Tawarikh-e Ajibah: Sawanih Ahmadi)』の三つの著作の文献調査を前進させた。特に、『奇妙な歴史:黒い水』については、数多くの版がこれまでに出版され異本が多くあるが、8-9月のパーキスターンでの資料調査によって、未見の版を同定することができた。また、『奇妙な歴史:ポートブレアの歴史』については、3月にパンジャーブ大学(ラーホール)において文献調査を実施し、分析を大きく進めることができた。明治日本については、『監獄協会雑誌』に出された論稿の検討および、三池集治監関係資料の読解を継続した。さらに、網走監獄博物館および月形樺戸博物館への訪問とヒアリングを経て、監獄の表象に関する考察を行なった。
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