2019 Fiscal Year Research-status Report
Historical study on influences toward lowland states wielded by people moving in Southeast Asian Massif since early modern times
Project/Area Number |
19K13366
|
Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
岡田 雅志 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 人文社会科学群, 准教授 (30638656)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 山地民 / 越境 / 移住 / 国家 / タイ族 / タイ / ベトナム |
Outline of Annual Research Achievements |
文献史料とオーラルヒストリーを統合する手法により、近世から現代にいたる東南アジア山地民の地域間移動が,関係諸国家に与えた影響を解明しようとする本研究課題の1年目の実施概要は以下の通りである。 今年度は、当初計画のうち、19世紀にベトナムからタイに移住した山地民に関する調査・研究を主に実施した。具体的には、タイ・ナコンパトム県の山地民(タイ族)の移住先集落でのインタビュー調査、SNS(Facebook)上のタイ族コミュニティ“Tai Dam Heritage”における調査、タイ(シャム)宮廷への報告文書であるバイボック文書の分析を実施し、ナコンパトム県への移住が、従来言われてきたラーマ5世による不自由民の解放に由来するのではなく、ラーマ5世期以前より行われていた、親族ネットワークを活用した開拓移住が、ラーマ5世王の事績に結びつけられて語られるようになっていたことなどが明らかになった。また、ナコンパトムでのインタビューでは、これまで明らかでなかった、アメリカのアイオワ州の黒タイ出身のインドシナ難民とナコンパトムのタイ族との1980~90年代における初期の交流の実態などについて情報を収集することができた。今後、これらの活動とアメリカ、タイ両政府の政策との関係について、公文書等史料の分析とあわせて検討してゆく予定である。 また、研究成果発信の現況としては、山地民が生産・流通に関与した森林産物の国境を越えた移動の影響について考察した論稿を寄稿した。また、19世紀末~20世紀前半にかけてのタイのネーション形成において、山地民がどのような位置づけを与えられ、また彼らの移住現象がネーション形成にどのような影響を与えたかについて、タイの中央エリートと山地民エリートが残したテキストの分析を中心に考察した論考を寄稿した(2020年9月刊行予定)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究計画の主要部分については実施することができた。ただし、主な移民の送り出し側となったベトナムでの現地調査を3月に行う予定であったのが、COVID-19感染拡大の影響で計画中止となり、当初の研究スケジュールを一部変更せざるを得なくなった。
|
Strategy for Future Research Activity |
上記の進捗状況をふまえ、引き続き、海外調査の実施可能性を模索しつつ、既入手データの分析を進めるとともに、SNS上の調査や、現地の研究協力者との協働によるアンケート調査等を実施することにより、当初研究計画の遂行を維持する予定である。
|
Causes of Carryover |
研究実施状況報告書の11「現在までの進捗状況」で述べた通り、今年度予定していた海外調査の一部が実施できなかったことに加え、COVID-19の影響で、海外発注図書の納入に遅延が生じたため。
|
Research Products
(3 results)