2020 Fiscal Year Research-status Report
Historical study on influences toward lowland states wielded by people moving in Southeast Asian Massif since early modern times
Project/Area Number |
19K13366
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Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
岡田 雅志 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 人文社会科学群, 准教授 (30638656)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 山地民 / 越境 / 移住 / 国家 / タイ族 / アメリカ / インドシナ |
Outline of Annual Research Achievements |
文献史料とオーラルヒストリーを統合する手法により、近世から現代にいたる東南アジア山地民の地域間移動が,関係諸国家に与えた影響を解明しようとする本研究課題の2年目の実施概要は以下の通りである。 前年度の研究においてインドシナ難民としてアメリカに渡ったタイ族とタイ・ナコンパトムのタイ族集団との交流の実態を明らかにしたが、今年度は、前者の移動や移動後の交流活動がどのような国家政策を反映し、また逆に各国政府の政策や民族認識に影響を与えたかについて検討することとした。ただし、COVID-19感染拡大の状況を鑑み、現地での文書、インタビュー調査は行わず、既収集資料の分析と、U.S. Declassified Documents Online(米国機密解除文書のフルテキストデータベース)やその他インターネットで公開されている関係文書の調査・分析を集中的に進めた。その結果、タイ族がインドシナ難民としていち早くアイオワ州に受け入れられ、タイ族独自のコミュニティを形成することができた背景に、USAIDのオフィサーであった人物の働きかけがあったことがわかった。USAIDは、ラオス中立化政策が失敗した後のアメリカの介入工作で重要な役割を果たした機関であり、よく知られているモン族の事例と同様、タイ族の指導者達がアメリカに協力したために難民として優遇された可能性が高い。こうして難民としてアメリカにわたったタイ族の指導者達は反共言説の急先鋒に立ち、ベトナム戦争の正当化に寄与した結果、アメリカ国内におけるインドシナ難民のプレゼンスを向上させたのである。今後は、インドシナ各国政府との関係について検討を進める予定である。 また、これまでの研究成果の公刊状況として、今年度、山地民が生産・流通に深く関わる森林産物の流通状況とベトナム前近代国家の天然資源認識との関係について研究会報告及びそれに基づく論稿を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の影響で、当初計画で予定していた海外調査が実施できず、必要なデータ収集が一部できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の進捗状況をふまえ、引き続き、海外調査の実施可能性を模索しつつ、既入手データの分析を進めるとともに、SNS上の調査や、現地の研究協力者との協働によるアンケート調査等を実施することにより、当初研究計画に大きな変更を加えることなく遂行する予定である。
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Causes of Carryover |
当初計画で予定していた海外調査が実施できなかったため。
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Research Products
(3 results)