2019 Fiscal Year Research-status Report
北宋軍事基盤と西北「辺境軍事社会」の東部ユーラシア世界における歴史的意義
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19K13368
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
伊藤 一馬 大阪大学, 文学研究科, 招へい研究員 (90803164)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 北宋 / 辺境軍事社会 / 東部ユーラシア / 軍事基盤 / 宋西北辺境軍政文書 |
Outline of Annual Research Achievements |
北宋の軍事指揮官の伝記史料や墓誌史料の蒐集・整理を行い,個々の軍事指揮官の出身地・出自・経歴などを抽出した。本年度はとりわけ北宋前期の太祖・太宗期の軍事指揮官の分析を行った。 また,北宋の対西夏軍事前線である西北「辺境軍事社会」におけるヒト・モノ・カネの動きを分析し,その基本的な構造の把握に努めた。その結果,宋代に形成された全国的物流・全国的市場と結びつき江南(南中国)の経済力に支えられていたこと,一方で西北「辺境軍事社会」の域内での様々な手段での軍糧確保・輸送が見られたこと,その財源として見銭・絹織物・香薬・茶,多様な鈔引(有価証券)が投入されていたことなどが確認できた。さらには,財源としての度牒や師号,紫衣などの出売,僧侶の軍事行動への参戦,寺院での避難民や商人の受け入れなども確認でき,西北「辺境軍事社会」において仏教が軍事や財政・経済と密接に関わっていたことが明らかとなった。 あわせて,軍事体制や対西夏戦略についても検討し,西北「辺境軍事社会」の域内において最前線・後方支援など地域的な役割・性格の差異があり,それは財政や物流面での地域的な差異と連動したものであったことが確認できた。 なお,以上の作業に並行して,ロシア所蔵の「宋西北辺境軍政文書」の訳注作業や中国甘粛省・陝西省・寧夏回族自治区に残る石窟題記銘文などの仏教史料の調査・蒐集・整理,および中国陝西省における北宋期の遺址・史料の現地調査も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
北宋の軍事指揮官の伝記史料や墓誌史料,「宋西北辺境軍政文書」,仏教石窟題記などの諸史料の蒐集・整理は想定通りに行うことができた。 また,北宋の西北「辺境軍事社会」におけるヒト・モノ・カネの動きの基本的構造やその変化について整理することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
諸史料の蒐集・整理を進めていくと同時に,北宋を取り巻く国際情勢の推移,対外政策の変遷といった時期的な状況の変化,西北「辺境軍事社会」の域内におけるより細かい地域的な役割の差異など,時期や地域を区切りつつ「辺境軍事社会」におけるヒト・モノ・カネの動きや,全国的物流・全国的市場,あるいは東部ユーラシア情勢との結びつきを確認していく。 また,北宋中期以降の軍事指揮官については,具体的に分析を進めていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大の影響により,予定されていた研究会が中止あるいは延期となったり,購入を予定していた中国の書籍の入荷が遅れたため,次年度使用額が生じたので,研究会旅費や書籍購入費として翌年度に使用する。
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Research Products
(4 results)