2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K13374
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Research Institution | Tokyo Woman's Christian University |
Principal Investigator |
森 万佑子 東京女子大学, 現代教養学部, 准教授 (30793541)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 事大 / 交隣 / 高宗 / 中華 / 大韓帝国 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の第一の研究成果は、『韓国併合-大韓帝国の成立から崩壊まで』(中公新書、2022年)に対して、日韓で開催された学会や研究会でいただいたコメントや批評を踏まえ、修正版として韓国語版『韓国併合-論争を越え再考する大韓帝国の軌跡』(崔德壽訳、The Open Books、2024年、2022年度サントリー文化財団海外出版助成受給)を出版したことである。 第二の研究成果は、朝鮮政府が天津に派遣・駐在させた使節・駐津督理通商事務(以下、駐津督理)の商務機能を解明し、「中國朝鮮商民水陸貿易章程による中朝關係の變容(1882~1892年)」『東洋史研究』(第82巻第4号、2024年3月)を発表したことである。本研究では朝鮮商人の主要交易品である高麗紙の運搬をめぐる駐津督理と天津海関道との交渉史料を発掘・分析し、高麗紙運搬からみる朝清陸路貿易の実態、それへの駐津督理の立ち位置を研究するとともに、「中朝商民水陸貿易章程」の改編過程を追うことで、当時の朝清関係が二国間関係だけではなく西洋列強の影響も受けながら形作られていたことを明らかにした。 最後に、「大韓帝国期の韓露関係―高宗の対露認識の変化」(第28回東アジア近代史学会大会、2023年7月)で、高宗が対露関係で考えた「保護」について発表した。高宗の対露認識を明らかにすることは、対清、対日認識とも通底するものである上、「事大交隣」における「保護」と「敵礼」概念の混在も浮かび上がった。 研究期間全体を通して、本研究の当初の課題である、朝鮮の外交が中華秩序における「事大交隣」から、「事大」と「交隣」に分岐し、「近代外交」にいかに対応し、そして大韓帝国期の外交体制を形成していこうとしたのかを明らかにできた。研究の過程で高宗の対外認識に着目することで、次の研究テーマにつながる新しい課題も見つけることができた。
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Research Products
(5 results)