2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K13375
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
速水 大 明治大学, 研究・知財戦略機構(駿河台), 研究推進員 (60810497)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 唐 / 石刻資料 / 官僚制 / 武官制度 / 中国史 / 宋 / 開封 / 繁塔 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度である2019年度は、研究基盤を作る一年と位置づけ、唐代の石刻資料の収集整理を行い、それと並行して武官関係記述の抽出と整理を行った。また、2019年9月に中国の陝西省西安市、浙江省杭州市において現地調査を行った。現地研究者との意見交換と資料調査とを行い、唐代石刻資料に関する新たな情報を収集した。次年度以降の協力体制を構築し今後の現地調査の基盤を作ることができた。 現地調査中、浙江大学において本研究に関わる「『大燕阿史那明義墓誌銘』与阿史那承慶:安史之乱中的突厥王族」の報告を行い、参加者から有意義な意見を得ることができた。本研究は、新出である該当墓誌から安史の乱前後の突厥王族の阿史那承慶・明義父子の動向をまとめたものである。両者は唐と安禄山が建てた燕において、武官としてして活動し、とくに父の承慶は最終的に燕で宰相の待遇を得る。その事跡を追うことで戦乱の時期に異民族の武官が国家の中枢に登る過程を明らかにした。 ほかに、宋代創建の開封の繁塔の石刻寄進題記を分析し、繁塔の竣工時期を推定したうえで、五代末宋初の江南の軍閥陳洪進と呉越国の宋朝帰順の状況を明らかにした。石刻題記からは、両者が宋への帰順の前段階として宋朝にゆかりのある仏教施設の造営に寄進していたことが明らかとなった。 本年度は、石刻を用いて個別具体的に武官の研究を推進することができた。次年度以降は収集した資料を総合的に分析し、唐朝の官僚秩序の中で個々の武官を位置づける研究を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、唐代の墓誌資料約15000件のうちの3000件程度からデータを抽出し整理することができた。一方で、作業用のデータベースの再構築を行ったこと、陸続と公表される新資料の整理に時間を要したことにより、当初の予定よりも遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、当初は本年度9月に唐代石刻に関するシンポジウムを開催し参加者と情報交換をする計画であったが、新型コロナウイルスの感染防止の観点から次年度以降に延期する。その代わり、前年の基盤を基に墓誌資料の情報の収集整理を積極的に進め、7000件程度の墓誌について武官に関わる情報を整理する。前年度の遅れを取り戻すため、アルバイトの雇用を増やして資料整理を推し進める計画である。本年度中はデータ収集と分析を並行して行い、本研究の中核となる一年としたい。
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Causes of Carryover |
当初予定されていた大型資料の出版が本年度に延期されたため、購入予定費が繰り越しとなった。本年度出版された場合には、その購入費に充てる予定である。
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Research Products
(7 results)