2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K13375
|
Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
速水 大 明治大学, 研究・知財戦略機構(駿河台), 研究推進員 (60810497)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 唐 / 石刻資料 / 官僚制 / 武官制度 / 中国史 / 均田制 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度に続き、唐代墓誌資料から武官制度に関する記述を抽出し集積した。同時に本研究の柱の一つである唐代の官人に関して研究を深めた現在確認できる15000件の唐代墓誌資料のうち4000件について調査し、その中から唐十六衛に関する記述を抽出した。現在までに7000点に関するデータを蓄積した。一方で、昨年までに口頭発表に止まっていた墓誌資料を用いて安史の乱中の突厥王族の動向をあきらかにした研究を論文として公表した。さらに、唐代の「官人」の意味を問い直す研究に着手し、魏晋南北朝時代の官人研究に対する著書に対する書評を公表し、その後、唐代の法典に見える史料用語としての「官人」について研究し口頭発表を行った。 また、2021年3月には、オンライン上で「第12回東アジア石刻研究会」を共催し、魏晋南北朝隋唐時代の石刻資料研究に関する国際的な意見交換を行う場を提供した。オンラインでの開催であり、報告者に中国人研究者を招いたことで、海外からの参加者も多く、活発な議論が行われた。この研究会において、河北省正定県出土で唐貞観13年の記年を持つ「田界銘」について、唐初の大土地所有を証明するものだとする先行研究の見解を検討した。その結果、「田界銘」は貞観13年の作成ではなく、唐初の実態を表わしているとは言い難いことをあきらかにした。さらに、河南省鄭州市登封県の少林寺に現存する「皇唐嵩岳少林寺碑」の碑陰に刻されたいわゆる「少林寺賜田勅」を再検討し、唐初にすでに開元年間と同様の田制が行われていたことをあきらかにした。これらの資料は、本研究の整理過程で認知したものである。現在、これらの発表内容をまとめて、本年度中に論文として発表する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、本研究の中核となる一年と位置づけたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、進捗が思わしくない一年となった。緊急事態宣言の発令中は、アルバイトの方々にも在宅での勤務をお願いしたため、資料を自由に使用することができず、作業に遅れが出てしまった。私自身も、例年よりも遠隔授業への対応に多くの時間を割いたため、作業に割く時間が著しく減少してしまった。そのため、唐代墓誌資料のデータ抽出は遅れており、当初本年度で1万件まで到達する予定であったが、全体で7000件に止まっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度として、唐代石刻と十六衛に関する資料集を出版する計画である。これまでの資料整理の過程で、これまで中心的に行ってきた唐代墓誌からの資料抽出だけではデータが不十分であることが明らかとなった。今後早急に編纂史料や碑文に範囲を広げてデータを収集し、より正確な資料集を公表する計画である。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染防止のため、アルバイトの勤務回数が減少したため、人件費にあまりが出た。本年度も大型資料の出版が続くため、その購入費用および、資料集の出版経費に充てる計画である。
|
Research Products
(5 results)