2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K13375
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
速水 大 明治大学, 研究・知財戦略機構(駿河台), 研究推進員 (60810497)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 唐 / 官人 / 武官 / 土地所有 / 石刻資料 / 中国史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、編纂史料と石刻史料をもとに、唐代の中央軍事組織の人的構成とその変遷を明らかにするものである。これまで研究に利用されてきた歴史書の記述だけでなく、類書の記述や石刻資料に見える官歴をもとに武官の任官状況を明らかにし、機関ごとに年代順に就任者を整理する。その整理を通して、唐代武人官僚はどのような人々によって構成され、どのような活動を行い、どのように唐代社会に位置づけることを目指した。 主要な作業は、石刻史料の任官情報を収集整理することであった。2019年度から整理作業用のデータベースの構築と、武官関係記述の抽出と整理を開始した。また、新出墓誌の情報収集と研究交流を行う必要があり、最近の唐代墓誌の発見が相次ぐ中国陝西省西安市と、墓誌を積極的に整理している浙江省杭州市の浙江大学で現地調査を行った。両地域で研究報告を行い、現地の研究者との意見交換を行った。 2020年度、2021年度は、新型コロナウイルスの感染拡大のため、その対応に追われた。海外調査は中止した。研究室への入室規制により作業が困難となったが、可能な限りデータの収集整理を進めた。また、唐代の戦勝報告書である「露布」を分析し、当時の軍事行動における武官の配置と種々の蕃族の参加を明らかにした。 2022年度は、データベースの完成を目指し作業を行ったが、完成することはできなかった。しかし唐の身分官人制と深く結びつく土地の給付に関する成果を発表することができた。寺院と官人の大土地所有について比較研究を行う基盤を築くことができた。 当初の目的であった『唐代中央武官年表』を完成することはできなかったが、その基礎データの蓄積を行うことができた。また、武官のみならず、唐代官人と大土地所有という新たな検討課題を見つけることができた。今後、官人データの収集整理を継続し、『唐代中央武官年表』を作成公表したい。
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