2019 Fiscal Year Research-status Report
20世紀前半のインドネシアにおけるイスラーム運動とアラブ地域
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19K13380
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Research Institution | The Toyo Bunko |
Principal Investigator |
山口 元樹 公益財団法人東洋文庫, 研究部, 研究員 (60732922)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 東南アジア史 / インドネシア / イスラーム / アラブ地域 / エジプト / 留学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、20世紀前半のインドネシアにおけるイスラーム運動について、アラブ地域との関係に着目して考察するものである。具体的な研究内容としては、伝統派ムスリムとカイロへの留学という2つのトピックを取り上げる。それらのうち、2019年度は後者を中心に作業を進めた。 当該年度は研究に必要な資料を集めるために、2019年8月にオランダのライデンとハーグで調査を行った。ライデンではライデン大学図書館、ハーグでは国立公文書館で、カイロのインドネシア人留学生に関するオランダ植民地政庁の報告書、カイロで発行されていたアラビア語の定期刊行物(新聞・雑誌)、そしてインドネシア人留学生団体のパンフレットなどを調べた。この調査によって、カイロのインドネシア人留学生について、特にインドネシアからカイロへの移動の経路・手順やカイロでの学習・日常生活の実態に関して多くの情報を入手することが出来た。 上記の資料の分析に基づく研究成果の一部は、2020年1月の東南アジア学会中部例会と同年2月の公開シンポジウムで発表した。それらの中では、インドネシア人留学生とマラヤ(マレーシア・シンガポール)出身の留学生との関係やカイロのイスラーム運動との間のネットワークなどについて明らかにした。その後、それらの発表内容をもとに論文の執筆に取り掛かっている。また、2020年3月には本研究のテーマと関係する内容の英語論文が論文集に掲載された。この論文は、インドネシアで1920年代から1930年代に開かれた一連の東インド・イスラーム会議について分析する中で、アラブ地域との連動性についても論じている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は当初予定していた研究課題をほぼ実施することができた。オランダの植民地文書の中でも、20世紀前半のカイロにおけるインドネシア人留学生についての大部のものを入手した。また、収集した資料に基づき、ある程度まとまった研究成果を提示することができた。 ただし、当該年度の研究から、インドネシアの特定の地域からのカイロへの留学生の数が時期によって増減していることが明らかになったが、その要因については充分に検証することが出来なかった。この問題を考えるためには、それらの地域の社会経済的な状況を踏まえたさらなる研究が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度もオランダとインドネシアで資料調査を行う計画であったが、世界的な新型コロナウィルスの流行の影響で見通しが立たない。可能であれば、2021年2月から3月にインドネシアまたはオランダで資料調査を行いたい。研究成果としては、2020年2月に行った発表内容をもとに、2020年度内に論文集に掲載する論文を執筆する予定である。
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Causes of Carryover |
ノートパソコンを購入する予定であったが、金額が不足してしまったため次年度使用額が生じた。次年度の物品費と合わせてノートパソコンの購入に充てる予定である。
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Research Products
(3 results)