2021 Fiscal Year Research-status Report
20世紀前半のインドネシアにおけるイスラーム運動とアラブ地域
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19K13380
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山口 元樹 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授 (60732922)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 東南アジア史 / インドネシア / イスラーム / アラブ地域 / エジプト / 留学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、20世紀前半のインドネシア(オランダ領東インド)におけるイスラーム運動について、アラブ地域との関係に着目して考察するものである。具体的な研究内容としては、①伝統派ムスリム、②カイロへの留学という2つのトピックを取り上げる。 当該年度は海外での資料調査ができなかったため、これまでに収集した資料の整理と分析、それに基づいた論文の執筆に専念した。まず、立教大学アジア研究所の『なじまぁ』特別号に論文「モハンマド・ラシディの「知識を求める旅」:20世紀前半におけるインドネシアからカイロヘの留学」を寄稿した。この論文では、インドネシア共和国の初代宗教大臣の経験を事例に、カイロにおけるインドネシア人留学生の学習や生活の実態を明らかにした。当時のインドネシアのムスリムがカイロ留学に求めていたものは近代的な知識であった。しかし、留学生の大半が在籍したアズハルはその要望に応えられず、優秀な留学生はカイロの中の他の教育機関やヨーロッパに移ったことを指摘した。 また、東京外国語大学AA研共同利用・共同研究課題「東南アジアにおけるイスラーム主義と社会・文化要因の相互作用に関する学際的研究」で、「ナフダトゥル・ウラマーの「イスラーム国家」論:オランダ植民地期インドネシアにおける伝統派ムスリムの変容」という題目で口頭発表を行った。その中では、伝統派イスラーム団体、ナフダトゥル・ウラマーの機関誌に掲載された「イスラーム国家」に関する論説を考察した。オランダ植民地末期の伝統派ムスリムが、改革派の影響を取り入れながらイスラーム勢力と世俗的ナショナリストの間に立ち「イスラーム国家」の実現を模索していたことを指摘した。 さらに、インドネシアのイスラーム運動がアラブ地域のイスラーム知識人から受けた影響に関する論文の執筆を執筆している。この論文はほぼ完成し、英文校正の後に外国の学術雑誌に投稿を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に引き続き2021年度もコロナウィルスの感染拡大の影響で、当初予定していたインドネシアとオランダでの資料調査を行うことができなかった。しかし、これまでの調査 である程度の資料を収集していたので、それに基づいて研究成果を発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の夏から海外での調査を再開する予定である。まず2022年8月から9月にオランダのライデンのライデン大学図書館とハーグの国立公文書館で、次に2023年2月から3月にインドネシアのジャカルタの国立図書館において資料調査を行う。 研究成果としては、2022年度中にインドネシアの伝統派ムスリムに関する論文を執筆し、国内の雑誌に投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
世界的なコロナ・ウイルスの感染拡大の影響により、予定していた海外での資料調査ができず、旅費を使いきれなかった。次年度は、海外での資料調査に使用するほか、国内旅費に充てることも考えている。
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Research Products
(2 results)