2020 Fiscal Year Research-status Report
Study of the Afghan arms trade network in the frontier zone of Southwest Asia during the early 20th century
Project/Area Number |
19K13381
|
Research Institution | The Toyo Bunko |
Principal Investigator |
小澤 一郎 公益財団法人東洋文庫, 研究部, 研究員 (50817210)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | アフガン人 / 武器交易 / フロンティア / 英領インド / イラン / アフガニスタン / ペルシア湾 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、2019年度にイギリスで2度行った史料調査にて収集したイギリス側史料を読解・検討した。そしてその成果をもとに、2020年12月に開催された日本オリエント学会第62回大会にて「19・20世紀転換期のアフガン人による武器交易の再検討」の題目で報告を行った。この報告では、本研究計画の第1段階である、19世紀末から20世紀にかけてのアフガン人の武器交易活動の全体像の再構成・再評価を行い、ペルシア湾からユーラシア大陸内陸部まで広がるアフガン人の武器交易網を、近代の境界領域という場において海陸両域を結びつける交易活動という観点からとらえなおすことを試みた。この成果については2021年度中に学会誌に論文として投稿予定である。また、同時並行して、アフガン人の武器交易の舞台となった西アジア・南アジア境界領域、とりわけマクラーンに注目した形での検討も開始した。この成果については2021年度中に学会報告の形で公表できればと考えている。 一方で、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、2020年度の夏にイギリスで、春にイランでそれぞれ予定していた史料調査はすべて中止となった。このため、イギリス側史料の視点を相対化する可能性を持つと考えていたイラン側の史料の調査はほとんど行うことができなかった。また、イギリスの図書館・文書館の複写部門も大部分の期間閉鎖となり、複写物の購入も行うことができなかった。このため、2020年度の研究は基本的に2019年度中に収集したイギリス側史料に基づいて行わざるを得なかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度中に収集した史料の読解・検討とその成果の報告という点では、当初の研究計画におおむね沿う形で進められているものの、先述の通り2020年度の新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、海外におけるさらなる史料調査という面では計画通りに進んでいない部分があるため。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究計画の遅れの原因として挙げた新型コロナウイルスの感染拡大は、最終年度となる2021年度においても大幅に改善することは見込めず、海外でのさらなる史料調査を行うことができる可能性は低い状況にある。このため、2021年度は当初の計画を以下の通り一部変更する。まず、これまでの学会報告の結果を論文として公表することを目指す。また、2020年度以降に本格的な検討対象とする予定であった、本研究計画の第2・第3段階のテーマについても、2019年度中に収集済みの史料をもとに検討を行い、研究成果をまとめるよう努める。また、可能であれば史料の複写物の入手を試みる。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、2020年度中に2度予定していた海外での史料調査が両方とも中止となったため。
|
Research Products
(1 results)