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2019 Fiscal Year Research-status Report

The Transformation of American Identities during the 'Continental' War of 1812

Research Project

Project/Area Number 19K13393
Research InstitutionKanagawa University

Principal Investigator

遠藤 寛文  神奈川大学, 外国語学部, 助教 (30829148)

Project Period (FY) 2019-04-01 – 2023-03-31
Keywords1812年戦争 / 陰謀論 / デモクラシー / 北米大陸史 / イギリス帝国 / 英西国境地域
Outline of Annual Research Achievements

本研究は、初期共和国時代(18世紀末~19世紀初頭)におけるアメリカ政治文化の「脱欧化」の過程を従来の国民の歴史とは異なる視点から明らかにすることを目的としている。具体的には、欧州のナポレオン戦争が波及する形で起きた二度目の米英戦争(1812年戦争)に注目し、この時期の北米諸集団の忠誠心と帰属意識のありようを把握することを本研究は企図している。1812年戦争は、アメリカの独立を確固たるものにした戦争であると通説では説明されてきたが、それが「アメリカ的でないもの」を再定義する動きを伴っていたことはさほど指摘されてこなかった。欧州諸帝国および先住諸民族からなる複合的な支配領域であった北米大陸が編制されていく七年戦争以降の歴史の延長線上において、北米内部の諸集団・諸党派の多元的な視点を重視しつつ1812年戦争を捉え直すことが本研究の課題である。
初年度は、1812年戦争期における米国内の反英感情(アングロフォビア)の程度や内実を把握することに努めた。初期共和国時代の反英感情は、アメリカ革命はもとより、革命以前のイギリス本国による植民地統治強化政策への反発に始まる長い経緯を有するが、それがどのように二度目の米英戦争に結びつき、やがて解消されていくのかは必ずしも自明ではない。19世紀初頭に反英感情が高まった原因の一つが、米国側の宣戦理由にも挙げられている英国海軍による米国人船員の強制徴募問題であった。そこで、本年度は、強制徴募が焦点となったモンロー‐ピンクニー条約(1806年)の批准拒否騒動に注目し、強制徴募問題とアングロフォビアの関係を米英両国の関連する一次史料から把握する作業に注力した。さらに、1812年戦争の裏面史とも言うべき、米国政府によるスペイン領東西フロリダ併合政策に関する史料の収集を目的として、ルイジアナ州ニューオリンズにて在外調査を実施した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

初年度に注目したモンロー‐ピンクニー条約は、米英両国代表のあいだで締結されながら、強制徴募を禁止する条項がないために米国政府がその批准を拒否したことで知られる。同条約をめぐる史料分析を通して、強制徴募をめぐる米英両国の認識の齟齬が生まれていく過程が明らかとなった。さらに、米国内の反英感情が英国内閣の党派性をめぐる認識と密接に結びついていたことが明らかとなるなど、研究に進捗が見られた。
他方で、平行して博士論文の執筆を進めたため、原稿を投稿論文の形で発表することができなかったことは、初年度の反省点である。

Strategy for Future Research Activity

次年度は、初年度実施した強制徴募と反英感情の関係をまとめ、これを北米人のイギリス化/脱イギリス化をめぐる長期的な文化変容のなかに位置づける。
これと同時に、かねてより調査を進めてきた米国によるスペイン領東西フロリダ併合史に関する史料分析を本格的に進める予定である。メキシコ湾岸地方にあたるスペイン領東西フロリダ植民地は、米国にとっては南部フロンティアにあたり、19世紀中葉にかけて綿花栽培が拡大していく深南部地方として知られている。しかしながら、この地域は、18世紀まではスペイン帝国とイギリス帝国の境界地帯であり、先住民に加えて、旧王党派(ロイヤリスト)、脱走兵、逃亡奴隷など多様な集団が逃げ込んだ地域でもあった。スペイン本国や同アメリカ植民地の情勢も踏まえつつ、1812年戦争と同時期に進められたフロリダ戦争の背景にあると考えられる、このような多様な出自をもつ辺境住民の忠誠心や帰属意識に関する研究を進めたい。この問題と密接な関わりをもつと思われる、米国内で高まりを見せたイギリス陰謀論についても分析を進める予定である。

Causes of Carryover

初年度に書籍(洋書)を発注したものの、海外販売業者の都合により、その一部が入荷されずキャンセルとなったために残額が生じた。次年度に改めて必要な史料・文献の入手を試みる予定である。

  • Research Products

    (1 results)

All 2020

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results)

  • [Journal Article] (書評)遠藤泰生編『近代アメリカの公共圏と市民――デモクラシーの政治文化史』(東京大学出版会, 2017年)2020

    • Author(s)
      遠藤寛文
    • Journal Title

      アメリカ史評論

      Volume: 37 Pages: 24-30

    • Peer Reviewed

URL: 

Published: 2021-01-27  

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