2019 Fiscal Year Research-status Report
Political Powers of Native American Women in the Early 20th Century
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19K13394
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Research Institution | Aichi University |
Principal Investigator |
地村 みゆき 愛知大学, 経営学部, 助教 (30824065)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 米国先住民女性 / 政治力 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、オネイダ族Laura Cornelius Kelloggの生い立ちと政治活動について、出版されている一次史料および先行研究を元に整理した。 そこで、Laura Cornelius Kelloggが、著名な先住民の指導者の孫として生まれ、同時代を生きた先住民としては珍しく先住民寄宿学校には行かず、白人の子供のために設立されたミッション系の学校であるグラフトン・ホールで学んだこと、また、1898年から1910年まで、スタンフォード大学、バーナード・カレッジ、後のコロンビア大学においてソーシャル・ワークの勉強をし、他にはコーネル大学、ウィスコンシン大学で学んだことが分かった。彼女はそれらのどれの大学も卒業しなかったが、それでもその時代の「先住民女性の間で一番教育を受けた人物」であると歴史家の間では評価されている。 また、Kelloggはアメリカ・インディアン協会の会合で先住民が直面する経済的困難に対する対策としてのグランド・プラン「ロロミ計画」を提唱し、米国における先住民全体の地位向上およびオネイダ族、広くはイロコイ連邦の地位向上に尽力した。しかし、彼女の歯に衣を着せない主張と行動は、白人および先住民の間で多くの反感を呼んだため、逮捕されることも少なくなかった。逮捕を理由に、Kelloggはアメリカ・インディアン協会の会員権をはく奪されることになる。 加えて、彼女の「ロロミ計画」が失敗に終わると、多くの人々は彼女を見放し、「先住民の経済的自立」を唱えた彼女は皮肉にも、生活保護受給の末、最期を迎えたと言われている。それゆえ、先行研究ではKelloggが熱意こそあれ、生きた時代に見合わなかった「悲劇のヒロイン」として扱われているということが分かった。 現在、アメリカ・インディアン協会におけるKelloggの役割と彼女が思い描いた政治思想について論文を執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度夏以降、マイクロフィルムリーダーを購入し、それによって資料の解読、分析作業を進めていたが、カリキュラム変更、および新規科目担当に伴い校務が多忙になり、思うように研究が進められなくなった。また、2020年度春以降は、コロナウィルス感染拡大防止のためのオンライン授業化の流れで、授業準備を重点的にしなければならなくなったこと、また、在宅勤務の割合が増え、マイクロフィルムリーダーが設置してある研究室に足を運ぶことができなくなっていることから、進捗状況が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
進捗状況がやや遅れているため、1年につき1人の女性を扱う予定であった研究課題であるが、もう半年ほど1人の女性の人生および政治活動、功績を精査し、発表するのに時間が必要であると考える。課題としてあげられるのは、コロナウィルスの感染拡大防止の観点から、海外への渡航禁止および国内外の学会が中止になり、さらなる資料収集や研究成果を発表する機会が少ないことであるが、これに関しては対応策を講じることは不可能である。
しかし、コロナウィルスが収束傾向にあるので無事おさまれば、秋には対面授業に戻り、授業準備にも今よりは時間を割かなくても済み、研究室にも通えるので、今後は研究を支障なく遂行していけると考える。一次資料の精査はできないが、先行研究の整理は自宅にいてもできるので、時間を見つけ、研究を着実に遂行させていきたい。
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Causes of Carryover |
PC購入に伴う費用を若干節約することができた。
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