2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K13405
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 舞 東京大学, 附属図書館, 助教 (90773226)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 中国 / 殷周青銅器 / 鋳型 / 製作技術 / 三次元デジタル計測 / 金工技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
中国古代の殷周青銅器は、曲線的な形状をもち、またその表面には幅1㎜にも満たない凹線によって精緻な文様・銘文が施されることを特徴とする。これらは、土製の分割鋳型を用いた鋳造品であり、その文様・銘文は鋳型上では凸線として作られていたはずである。実際中国では、近年数多くの土製鋳型が発見され、その製作法の研究が進められている。 本研究では、主に日本所蔵の殷周青銅器を調査対象として、青銅器上に残された製作痕跡を、肉眼観察、レプリカ資料の顕微鏡観察、3次元デジタルデータの撮影・分析という3種の観察方法を通じて、鋳型製作法の推測・復元を行う。 本年度(第3年度)は、主に次の3点を行った。1点目に、特に黒川古文化研究所所蔵青銅鼎2器(西周時代)の実見調査及び3次元デジタルデータ撮影を行った。現在取得データの整理を進めており、その研究成果は次年度以降に論文としてまとめる予定である。 2点目に、昨年度までに、データ収集及び肉眼観察を済ませていた東周時代・秦国の青銅器を対象として、その製作技術とその背景として想定される当該期の鋳造技術者の動向について検討し、研究発表を行った。その際、同じく東周時代から秦代にかけての秦を研究する日中両国の研究者らとともに、国際共同シンポジウムを開催・運営した。その成果は、書籍として刊行した。 3点目として、古代中国青銅器だけでなく、隣接地域であるユーラシア草原地帯の古代青銅器や、同地域の中世金工品の製作技術に関する論文・著書の執筆や研究報告を、昨年度に引き続き、進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度末以来続いているCOVID-19感染拡大対策のための移動自粛により、第3年度後半期にようやく三次元デジタル計測が実現した。海外調査(中国)は昨年度に引き続き、回復の見込みはない。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度も、海外調査(中国・台湾)は再開されないものと予測され、また国内調査もコロナ禍以前のように進めることは難しいように思われる。そのため、①今年度撮影した国内資料の三次元デジタルデータの解析に重点を置き、これに基づく論文執筆を進めることとする。また、②これまで採取済のレプリカ資料の観察、および関連する資料の整理を紙媒体ベースで進め、研究成果として発表する。
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Research Products
(12 results)