2021 Fiscal Year Research-status Report
A Study on the Developmental processes of Cities in Oases of Central Asia: Focusing on the Zeravshan Valley
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19K13409
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
宇佐美 智之 立命館大学, 文学部, 助教 (60838192)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ザラフシャン川流域 / ソグド / ミングテパ / オアシス地帯 / シルクロード / カフィル・カラ / 衛星画像 / GIS(地理情報システム) |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,ザラフシャン川流域(ソグド)を中心対象に,古代・初期中世期の都市形成と地域社会について考察することを目的としている。研究の方法は,(1) 大型都市遺跡の発掘と構造分析,(2) 考古遺跡の踏査と体系的集成,(3) 地理環境・交通路の調査・空間解析,以上3つを柱とするものである。ただし,現地(ウズベキスタン・サマルカンドほか)における資料の収集・整理等の作業は2021年度も引き続き実施困難であった。研究方法・内容においては柔軟に変更を加えつつ可能な範囲で資料収集・分析作業を進め,上記の研究目的達成に接近できるよう努めている。すなわち,(1)については,直接現地に赴くことはかなわなかったが,現地研究機関・研究者との連携によりザラフシャン川中流域の有力都市遺跡(下記)の調査を実施した。また,(2)および(3)については衛星画像等を活用し,遺跡情報・地理環境情報の蓄積を図った。 上記(1)においては,現地研究機関・研究者とオンラインで密に連絡・確認を取り合いながら,ミングテパ遺跡のシャフリスタン区(市街地)の試掘調査(委託)を進めた。ミングテパ遺跡はサマルカンド市の北東約20kmに位置し,ソグドの主要都市のひとつ,曹国(カブーダン)の中心的遺跡に比定されるものである。調査の結果,シャフリスタン区内の一部構造が明らかになるとともに,具体的な時期を判断できる出土資料を得た。新たな知見と今後の調査への良好な見通しが得られたといえる。 上記(2)においては,当然今後の現地踏査・検証に委ねられるものであるが,USGSが公開する偵察衛星画像や高精細衛星画像を利用することで,対象地の遺跡分布やプランについて広域に情報を収集・データベース化し,検討を深めた。なお,この試みでは遺跡の破壊・消失事例についてもあわせて集約し,1960年代以降の遺跡破壊の推移と将来的な保護の必要性等を明確にした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度もコロナ禍の影響で実質的に現地調査が行えなかったことから,研究の柱となる上記3つの作業内容には変更が生じている。前年度に続いて当初の計画通りに研究が実施できていない点はマイナスといわざるを得ない。一方,調査の期間・体制等は必ずしも十分でなかったが,現地研究機関・研究者との連携を通じて,非常に注目される都市遺跡であるミングテパ遺跡の発掘を進め,多くの新知見を得ることができた。こうした重要成果があったことをふまえ,進捗状況に対する総合的な判断としてはやや遅れているという評価を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度において,本課題の前提となる海外渡航・現地調査を実施できる可能性は出てきたが,調査期間・体制等の面で引き続き制約・問題が伴うことが予想され,当初の計画に沿った研究活動は期待できない。こうした中で本研究課題を達成するため,2021年度と同様に現地研究機関・研究者とオンラインで十分な連絡・確認をとりつつ,上記の「(1) 大型都市遺跡の発掘と構造分析」に特に焦点をあて,発掘を含む調査と資料収集を可能な限り推進したい。また,2021年度の作業の継続として,中央アジアオアシス全域を対象に,衛星画像による遺跡情報の収集・データベース化作業を集中的に行い,都市遺跡の立地特性やプラン等について考察および国際比較を進めたい。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により現地調査が実施できなかったことによる。当初の計画では2021年度をもって本課題を完了することを想定していたが,海外調査が困難な状況が続いているため2022年度にも延長して実施することが認められた。使用計画としては,サマルカンドの都市遺跡において発掘を含む考古学調査を実施する計画であり,人件費・謝金および物品費(調査実施に係る物品や図書),海外渡航が可能な場合は旅費を執行する。
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Research Products
(4 results)