2021 Fiscal Year Research-status Report
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19K13423
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| Research Institution | Independent Administrative Institution National Institutes for Cultural Heritage Tokyo National Research Institute for Cultural Properties |
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Principal Investigator |
宇高 健太郎 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 保存科学研究センター, 客員研究員 (30704671)
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| Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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| Keywords | 膠 / 墨 / 水墨画 / 文化財 / 修復材料 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
古典的膠の製造方法に関して、過年度からさらに広範な範囲で体系化を進めた。
抽出温度及び時間のほか、特に原料皮革等の加工方法について製品性状との関連を詳細に検討し、より安定的に明色の製品を得られる条件の解明を進めた。膠製品の暗色化については、ケラチンを主とした微細な毛乃至表皮組織等の混入が主要因子であると考えられ、本年度公開となった特許は主にその解決を企図したものである。本年度の追加実験においてもやはりこれを支持・補強する結果が得られ、また加えて、他の副次的因子及びその解決に関しても有用と考えられる知見をさらに得た。
膠やその代表的応用物である墨をはじめとした各種伝統的書画材料の活用及び応用等について検討した。書画文化財の制作においては其々適した技法材料が相応の理由のもとに選定されてきた。
過年度に引き続き、墨における主要な色料である煤について、走査型電子顕微鏡及びレーザ回折・散乱式粒度分布測定装置を用いて、粒子径や凝集体規模の測定をさらに広範に進めた。また一般的に用いられてきた基底材である和紙や宣紙について、厚みや組織、吸水性や墨滲みの発生様態等を検証した。さらに、墨液様分散系における生薬その他各種の添加材料の影響を検証した。それらの成果を応用し、こうした伝統材料の定量的加工についても好適な方法を確立した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
前年度に続き、COVID-19流行に伴う社会状況や対人接触機会抑制のため、調査や実験等の諸般に遅れが生じた。
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| Strategy for Future Research Activity |
膠について各抽出条件で試料調製を行う。膠原料としては剃毛後表皮除去処理を行った牛皮や、洗浄及び破砕処理を行った鹿角等を用いる。抽出に際しては、過年度研究に準じチタニウム製機材と温度調整装置などを用いて定量的加熱を行う。また各膠試料の物理化学的な特性について、JIS K 6503の粘度、ゼリー強度など10項目と、PAGI法の等イオン点と起泡率等の分析を行う。さらに各分析結果を、過年度の実験によって明らかにした試料群の分析結果と照合し、膠製造時の抽出等諸条件によって、成果物における物理化学的特性や成分等にどのような違いが生じるのかをより広範に検証する。
また膠の代表的応用材料である墨について、その分散性における膠の性状の影響と、膠-煤分子間の相互作用等に関して引き続き解明を進める。
過年度の実験において調製を進めてきたそれぞれ二百種以上の膠試料と煤試料を用いて墨の調製を行う。また調製にあたっては、原料の混練処理を定量的に行うため定速恒温混練装置を用い一定の剪断力を加えて処理を行う。原料種及び配合比と、混練処理強度を段階的に変えて各試料墨を調製する。またレーザ回
折・散乱式粒度分布測定装置やペーパークロマトグラフィー等によって、各製造条件で調製された墨の水中分散における特性を評価する。
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| Causes of Carryover |
前年度に続きCOVID-19流行に伴う社会状況や対人接触機会抑制のため、調査や実験等の諸般に遅れが生じたため。
膠について、各抽出条件で試料の調製を進める。また各膠試料の物理化学的な特性について分析を行う。さらに各分析結果を、過年度の実験によって明らかにした試料群の分析結果と照合し、膠製造時の抽出等諸条件によって、成果物における物理化学的特性や成分等にどのような違いが生じるのかをより広範に検証する。また、膠の代表的応用材料である墨について、その分散性における膠の性状の影響と、膠-煤分子間の相互作用等に関して引き続き解明を進める。過年度の実験において調製を進めてきたそれぞれ二百種以上の膠試料と煤試料と定速恒温混練装置を用いて墨の調製を行う。それらの試用と分析を通して、墨の原料種、配合比、混練処理条件等と成果物の性状の関連について、検証を進める。
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