2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K13427
|
Research Institution | Hokkaido Museum |
Principal Investigator |
圓谷 昂史 北海道博物館, 研究部, 学芸員 (70708940)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 博物館教育 / 環境教育 / 貝類 / 化石 / 漂着物 |
Outline of Annual Research Achievements |
海洋環境は,地球環境の変動と密接に関連しており,そこに棲む海洋生物は環境変化にあわせて,繁栄や衰退をくり返してきた.また現在の海洋環境では,人為的な影響による生態系の変化や破壊が生じており,海洋環境の保全や継続的な活用を意識することは重要な課題である.一方,一般市民がこれらの海洋環境について,自ら知る機会は十分に創造できているとは言い難い.海洋生物のうち,貝類はどの海でも観察できる最も身近な生物であり,多くの生態学的なデータが蓄積されている.また,化石としても比較的多産するため,地質時代や当時の古環境を示す指標であり,現在の海に生息する種類(現生種)も産出することから,現生と化石の群集構成を比較することにより,短期的・長期的な海洋環境の変動を学ぶことができ,過去・現在・未来をつないだ,具体的な海洋環境への意識づけができると考えた.そこで本研究では,貝類をモデルとして,海洋環境教育で活用できる教材を作製し,博物館や地域の学校における教育活動で活用・実践を行うことで,私たちを取り巻く海に対する興味・関心を促進し,自ら体験活動をする際に必要な知識・技能を習得できる教育プログラムの開発を目的とする. 令和3年度は,上記の目的、研究計画に基づき,以下の研究を行なった.ただし,新型コロナウイルス感染症拡大等に伴い,計画には大幅な変更が生じた. 1.漂着貝類を対象とした野外調査を2件実施した.具体的には,①国指定天然記念物である北海道渡島大島(7月),②北海道積丹半島(10~11月)である. 2.化石貝類の教材の作製を1件実施した.具体的には,新生代を代表するビカリアのレプリカ,及び3Dデータである. 3.これまで採集・作製した化石・現生貝類教材を用いた教育プログラム(仮)を2件実践した.具体的には,①当館の子どもワークショップ,②ジオフェスティバルin Sapporo 2021である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症拡大に伴う各種制限,及び研究代表者が勤務する博物館内における業務が予想以上に膨大になったため,当初の計画を十分実施することはできていない.ただし,そのような中でも,令和3年度には,漂着貝類を対象とした野外調査として,国指定天然記念物である北海道渡島大島で調査を実施することができた.また,化石貝類の教材として,新生代を代表するビカリアのレプリカ,及び3Dデータを作製することができた.さらに,これまで採集・作製した化石・現生貝類教材を用いた教育プログラム(仮)を2件実践できた.今後も,感染症拡大等に伴う影響は継続すると予想されるものの,適切に対応しつつ,研究を進めていきたい. 以上の理由により,現在までの進捗状況は遅れている.
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究は,貝類をモデルに,海洋環境教育で活用できる教材を作製し,教育プログラムを開発することを目的とする.しかし,上述の理由により,これらの素材や基礎データを得るための調査が十分に実施できていない. 本年度も,コロナ禍におけるさまざまな制約は想定されるものの,これらに配慮した上で,当初に計画をしていた調査を可能な限り実施する.また,昨年度までに得られた成果を活用し,さらなる教材作製にも取り掛かる.加えて,これらの教材を活用した教育プログラムを申請者が所属する博物館の普及事業,外部機関のイベント等で実践・検証する.なお、本教育プログラムは,学校教育での活用も想定していたものの,学校現場での実践・検証の機会を得ることは困難な状況になったことから,機会を得られた場合にのみ実施することに変更する。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症拡大に伴う各種制限,及び研究代表者が勤務する博物館内における業務が予想以上に膨大になり,当初の計画を十分実施することができていないため. 今後の使用計画については,コロナ禍におけるさまざまな制約は想定されるものの,当初に計画をしていた調査(主に旅費の使用)を可能な限り実施する.また,昨年度までに得られた成果を活用し,さらなる教材作製(主に物品費の使用)にも取り掛かる.加えて,これらの教材を活用した教育プログラムを申請者が所属する博物館の普及事業,外部機関のイベント等で実践・検証する.
|
Research Products
(5 results)