2020 Fiscal Year Research-status Report
植民地期南米イエズス会布教区におけるキリスト教化と先住民社会の再編成
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19K13455
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
金子 亜美 宇都宮大学, 国際学部, 助教 (90837270)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | キリスト教化 / 南米先住民 / 言語社会化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、植民地時代南米チキトス地方での先住民のキリスト教化事業を扱うものである。 2020年度は前年度から引き続き史料の収集・転写・分析を行いつつ、本研究課題の関連分野に関する理論研究に本格的に着手する予定であったが、新型コロナウイルス感染症の影響により、史料収集のために予定していた海外調査はできなかった。しかしながら、前年度までに行っていた海外出張で閲覧予定であった史料を前倒しで入手できていたほか、別の史料も関連分野の研究者とオンラインで共有することができたため、史料収集自体は完了することができた。 この史料の整理に加え、理論研究には予定通り力を入れることができた。特にキリスト教の人類学関連研究やリテラシー研究の古典から最新の理論まで文献購入を進め、国内で多読をおこなうことができた。 この成果を踏まえ、2020年7月にはスペイン人類学会国際大会に参加した。この大会は当初、ポルトガルのヴィラノヴァで開催される予定であったが、新型コロナウイルス感染症の影響によりZoomを利用しオンライン開催となった。そのため、海外旅費の計上はない。報告者は「先住民の権利」と題するパネルの一人として英語での研究発表を行ったが、質疑応答などはすべてスペイン語でなされた。この大会を通じて多くの人類学者とラテンアメリカの先住民社会の歴史などについての意見交換を行うことができた。 2020年度の後半は休職にともない研究を中断しており、2022年度まで補助事業期間を延長することに関する承認を申請している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は新型コロナウイルス感染症の影響により予定していた海外調査ができなかったものの、入手予定であった史料は入手することができており、分析と文献研究は予定通り進めることができている。「やや遅れている」としたのは2020年度後半に研究中断の期間を設けたためであり、この遅れは補助事業期間を延長することで取り戻すことができる。
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Strategy for Future Research Activity |
2021-2022年度は、新型コロナウィルス感染症の影響で海外での調査研究活動が困難となることが予想される。しかしながら計画書に記載していたアルゼンチンおよびボリビアへの渡航調査はすでに済ませることができており、フランスに関しても閲覧予定であった史料を関連分野の研究者とオンラインで共有することができたため、研究の継続は可能である。 2021年度は、史料の分析と総合、文献研究を中心に進める。特にイエズス会の言語イデオロギーについて史料や文献から把握するとともに、南米布教区の構想との関係を検討する。これは2020年度に主に予定されていたことであり、2020年度後半に中断した分にあたる。史料は手元にあるが、関連分野の最新の研究成果も刊行されているため文献購入の必要がある。また、楽譜の分析にあたり音楽学関連分野の文献を購入し、自身の研究を位置付ける。また、国内外学会での発表にも申し込む。 2022年度は、新型コロナウィルス感染症の影響を考慮する必要があるが、基本的には史料の分析と文献研究を継続し、単著刊行の準備を行う予定である。博士論文での研究と本研究課題の成果を踏まえ、植民地時代の社会変容から現代までのチキトス地方とキリスト教の歴史を総合的に描くことを目指す。研究成果の公表として国内外での学会発表も予定する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により海外調査ができなかったこと、2020年度後半に休職したことによる。すでに「補助事業期間延長承認申請書」を提出しており、補助事業を1年延長して研究成果公開のための文献調査に支出する計画である。
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