2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K13461
|
Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
河合 文 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 助教 (30818571)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | オラン・アスリ / 社会の変化 / マレーシア |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はコロナ状況が落ち着いたため、クランタン州のクアラ・コ村を訪問し人々の生活状況を確認した。調査許可を取得する必要から実質的なフィールド調査はおこなえなかったが、現在は調査許可取得の準備を進めている。 また渡航時には、コロナ禍の影響についてオラン・アスリ病院でインタビュー調査をおこなうと同時に、現地協力機関であるスルタン・ザイナル・アビディン大学にて開催されたラウンドテーブル『Roundtable Discussion on Orang Asli Research 』に参加し、現地の研究者と議論を深めた。さらに人口学的側面から社会の変化を把握するために、統計資料等をもちいてオラン・アスリの人口動態についてまとめ、国際シンポジウム『Orang Asli Symposium 2022』で発表した。アメリカのキーン大学主催のこのシンポジウムは、2022年は「オラン・アスリのウェルビーング」をテーマに開催され、人類学、社会学、経済学的な側面だけでなく人々の健康など医療・公衆衛生学的な観点からの発表があり、議論に参加した。 いっぽうオラン・アスリ全体の社会状況や暮らしの変化について国際シンポジウム『Changes in Orang Asli Lives Malaysia』をマラヤ大学等との共催で開催し議論をおこなった。発表者は東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所に集まり、それ以外の参加者はzoom参加という形式で開催し、オンライン通訳を依頼してマレー語・英語・日本語で参加できるようにした。発表者には昔の写真などをデジタル化したものを提示しながら発表してもらい、マレーシアより招聘したオラン・アスリの方々と研究者、そして日本の研究者間でオラン・アスリの集団毎の変化を共有し対面で議論を深めることができた。オンラインでもマレーシア、日本、他国々より100名を超える参加があった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍の下でフィールド調査をおこなえない期間が続き、当初の予定通りにデータを集められていないという点で計画は遅れている。しかし一方、統計資料などを使って分析を進め発表するなど調整しつつ進められている。また予定していた対象集団だけでなく他のオラン・アスリ集団にも目を向けて環境や暮らしの変化が人々の社会関係にいかに影響しているか、シンポジウム等で意見交換をおこない、進展があった。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度はフィールドでの調査を実施し、本課題が当初目的としていた点にくわえコロナ禍が人々の暮らしや社会関係にどのように影響したのかという点も検討する。 また、国際シンポジウムを主催したのをきっかけに、オラン・アスリ集団全体の変化についても知見が広がった。次年度はこれを発展させた形で国際集会を開催するとともに、そうした集団との比較によって、対象集団がオラン・アスリ諸集団内でどのような位置にあるのか、狩猟採集を生業とすること、また生活環境といった点から何等かの特異性があるかについても、社会関係という側面から考察を深める。
|
Causes of Carryover |
予定していたフィールド調査が実施できなかったことにより、次年度の使用額が生じた。 これについては、次年度にフィールド調査を実施することで使用することを計画している。
|