2023 Fiscal Year Research-status Report
タイにおけるイスラーム聖者信仰の興隆に関する人類学的研究
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19K13469
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Research Institution | Asia University |
Principal Investigator |
小河 久志 亜細亜大学, 国際関係学部, 准教授 (50584067)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | イスラーム / 聖者信仰 / タイ / イスラーム復興運動 / 宗教実践 / 多文化共生 / 観光 / 地域文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、タイで生起するイスラーム聖者信仰の興隆という現象を、イスラーム復興運動との関係からとらえるとともに、それがムスリムの私的、公的領域に及ぼす影響についてミクロな次元から解明することを目的としている。この作業を通して、イスラーム復興運動と聖者信仰を二項対立的にとらえてきた既存の研究が持つ暗黙裡の前提を相対化し、人類学における聖者信仰研究に新たな分析枠組みを提示することを目指している。 2023年度は2度(8-9月と10-11月)、タイで現地調査を行った。具体的には、トラート県にあるト・ワーリー廟とラヨーン県にあるト・ワーリー・ラヨーン廟での聞き取り調査と参与観察、ならびにチュラロンコーン大学をはじめとするタイ国内の研究機関でのタイ語文献資料の収集を行った。 また昨年度同様、日本国内で以下の活動を行った。具体的には、国立民族学博物館をはじめとする国内の研究機関で、イスラーム聖者信仰やイスラーム復興運動に関する文化人類学、宗教学、地域研究の文献資料を収集し、それらを読解した。また、ウェブサイト上にあるタイのイスラーム聖者信仰やイスラーム復興運動に関するタイ語や英語の情報を収集し分析した。この作業を通して、本研究に関わる多くの知見を集めることができた。また、タイのムスリム少数派の特徴を把握するため、日本のムスリム社会を調査して両者の比較を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、当初の計画通りに現地調査を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、補足調査としてタイと日本でフィールドワークを実施する。また、これまでの調査研究の成果の取りまとめを行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う海外渡航禁止により使用できなかった海外調査費が多額であったため、次年度使用額が生じた。次年度は上述のように、タイと日本での調査を行う予定であり、助成金は主にそのための経費に使用する。
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