2019 Fiscal Year Research-status Report
現代中国における少数民族女性の稼得労働とエスニシティに関する人類学的研究
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19K13470
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
宮脇 千絵 南山大学, 人類学研究所, 准教授 (30637666)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 少数民族 / 女性 / 稼得労働 / エスニシティ / 中国 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、急激な経済成長を遂げる現代中国において進展する少数民族女性の稼得労働の変容およびライフコースの多様化を、エスニシティとの関係性から明らかにすることである。 初年度である2019年度は、以下の項目について、研究、調査をおこなうことに努めた。 1.女性の稼得労働、中国少数民族女性のライフコースに関して、先行研究の整理をおこなった。2.8月にフィールドワークをおこなった。調査地である中国雲南省では主に、モンと自称するミャオ族を対象に、以下の項目に関する調査をおこなった。①地元の商店街においてモンの衣装販売をおこなっている店主に対し、いかに稼得労働へ参画しているのかへのインタビュー。②エスニシティの利用や再解釈がいかに衣装に反映されているのかの観察。その結果、店主の女性たちの個別的な経験と、商品である衣装に付されるエスニシティの解釈の広がりが明らかになった。3.フィールドワークで得られたデータを整理するとともに、モン女性の労働の変容やライフコースの多様化、エスニシティの関係性について検討をおこなった。 なお、3月にもフィールドワークを実施する予定であったが、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により取りやめることとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定通り文献収集と現地調査を実施することができた。 ただし、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大によって、2回おこなう予定だった現地調査は1回のみの実施となった。また、2019年度は学会発表等をおこなうことができず、議論を深化させることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目にあたる2020年度も、引き続き国内外の研究動向の把握をおこなうとともに、現地調査の実施、および学会での発表を予定している。 現地調査では、インフォーマントの数を増やし、彼女らのライフコース、稼得労働への参画の方法、商品であるモン衣装の特徴などに関するデータの収集をおこない、現代中国における少数民族女性の主体的な働き方、およびエスニシティとの関わりについて明らかにする。 ただし新型コロナウイルス感染拡大の影響で現地調査を実施できなかった場合には、関連文献の検討に注力し、次年度へ備える。
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Causes of Carryover |
当初実施予定であった3月の現地調査の旅費として使用する予定であったが、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響により、現地調査を取りやめたため、次年度使用額が生じた。 2020年度に旅費として使用する計画である。
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