2021 Fiscal Year Research-status Report
現代中国における少数民族女性の稼得労働とエスニシティに関する人類学的研究
Project/Area Number |
19K13470
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
宮脇 千絵 南山大学, 人類学研究所, 准教授 (30637666)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 少数民族 / 女性 / 稼得労働 / エスニシティ / 中国 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、急激な経済成長を遂げる現代中国において進展する少数民族女性の稼得労働の変容およびライフコースの多様化を、エスニシティとの関係性から明らかにすることである。 女性の生き方やライフコースは、主に社会学において伝統的家庭観や家庭における女性の役割、性別分業の変化や是非に焦点が当てられて論じられてきたが、本研究では、人類学的視点から、女性の主体性を持った生き方の選択を明らかにすることを目指している。そこには、個々人のリアリティを伴った日常的行為やその内なる論理へ着目することが求められる。 そこで本研究では中国雲南省において、モン(ミャオ族)女性が展開するモン衣装販売の状況を中心にフィールドワークをおこなう計画であった。当初は、これまでも継続的に調査をおこなってきた雲南省文山州において、統計データにはあらわれない、個別的で多様な女性たちの稼得労働のあり方についてインタビューおよび参与観察をする予定であった。このようなモン女性たちがおこなっている小規模な商業活動を、現代中国を生きる少数民族女性の多様な稼得手段の展開とライフコースの変遷に位置づけ、その様相を明らかにすることを目指していた。しかし昨年度に続き3年目にあたる2021年度も、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響によって中国への渡航が叶わなかった。 本研究のテーマは、申請者にとって新規的なものであり、フィールドワークをおこなわずに成果を出すことは困難である。そのため今年度は、本研究が対象とする中国少数民族の衣装の表象に関し、これまでの研究をまとめること努め、有識者へのインタビュー、論文の渉猟、編著本の出版および講演会や研究会での発表をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の遂行には現地調査が必須だが、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響により、実施が叶わない状態が続いている。調査データが得られないため、学会での口頭発表や雑誌論文のかたちで成果を発表するに至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究の進捗状況をふまえて、最終年度の研究計画についても見直しが必要である。中国における現地調査の遂行が引き続き困難な場合、先行研究の渉猟、整理を継続しておこないながら、これまでに得られた調査データでの分析、考察を試みる。
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Causes of Carryover |
フィールドワークをおこなうため、中国に渡航するための旅費が予算の大部分を占めていたが、これをおこなわなかったため次年度使用額が生じた。
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