2019 Fiscal Year Research-status Report
Fundamental study for mode of co-existence through foodstuffs for Chinese dishes in Southeast Asia
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19K13474
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
佐久間 香子 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 研究員 (50759321)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ボルネオ / ツバメの巣 / 食材 / 香港 / 華人 / 女性 / 贈与 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、ボルネオ島マレーシア領のサラワク州と香港の2つの調査地を設定している。それは、サラワク州で生産(採集、加工)されるツバメの巣などの食材が、香港における東南アジア華人女性たちによって子孫繁栄と美を担保する財として、いかに贈られるのか、その文化的文脈を明らかにするためである。 しかしながら、夏季に調査をする予定で計画していた香港では、政治情勢不安定化と暴動やテロによる治安の悪化、さらにはフライトスケジュールも定まらない状況となり、今年度中の調査をあきらめざるをえなかった。さらに、春節後に予定していたマレーシアでの調査は、新型コロナウィルスがアジア、そして地球大の感染拡大が懸念されるようになった。研究者の調査渡航によって感染拡大を助長することはあってはならないこと、加えてマレーシアでの調査カウンターパートからも、渡航の延期を打診されたため、年度末のマレーシア調査も、急遽キャンセルすることにした。 上記のように、現地調査は計画通りには進んでいない。他方、これまで蓄積したデータを元に、今年度はアウトプット活動を精力的に行った。立命館大学で開催された2つのシンポジウム、および、韓国で開催された国際学会(East Asian Anthropological Association Annual Meeting 2019)で発表した。さらに単著『ボルネオ 森と人の関係誌』を春風社から刊行するなど、研究成果を学術的、社会的に広く還元することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していた2地点での調査(サラワク、香港)での調査が政治情勢の不安定化と世界規模での感染症拡大によって、今年度の調査はかなわなかった。そのため、それぞれの調査地の調査カウンターパートは知人とメールで状況を報告し合い、調査可能となったときに備えて情報を収集すると同時に、連絡体制と調査対象者のネットワークを強固にするよう尽力している。現地調査が思うように進まない一方で、先行研究の渉猟、研究者自身によるこれまでの調査データの分析を進めることができたため、一般公開シンポジウム、国際学会、そして単著の刊行など、研究成果のアウトプット活動を精力的におこなうことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルスの感染拡大がいつ頃、どの地域で終息し始めるのかが不透明な中、現地調査ありきで研究計画を推し進めることには無理がある。そのため、これまで築いてきた調査地の人脈と信頼関係をベースに、遠隔で収集できる情報は積極的に収集していく。 また、国際学会での発表も今後は困難であると想定し、現地調査カウンターパートの研究者らを含めて国際学術雑誌へ積極的に投稿することに焦点をしぼったアウトプット活動を展開していく。そうすることで、研究成果を広く世界に発信する。
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Causes of Carryover |
今年度に予定していたマレーシアと香港での調査が、政治情勢の不安と新型コロナウィルス感染拡大によって断念せざるをえなかったため。次年度以降、両調査地の状況に鑑みて調査を実施する。
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Research Products
(4 results)