2021 Fiscal Year Research-status Report
芸能教育の学校化の効果とその応用に関する人類学的研究
Project/Area Number |
19K13475
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Research Institution | Kansai University of International Studies |
Principal Investigator |
清水 拓野 関西国際大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (40791520)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 学校化概念 / 芸歴インタビュー / 無形文化遺産の保護・伝承 / 無形文化遺産の教育研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、文化人類学的視点から、中国伝統演劇・秦腔の俳優教育を事例分析し、伝統演劇教育の学校化の特徴と長短を明らかにすることが目的である。そして、国営、民営、中央政府所属の中等演劇学校という3種類の演劇学校の比較分析をもとに、芸能教育の学校化の理論モデルを構築し、学校教育を通して伝承される無形文化遺産芸能の保護・伝承問題へ応用することをめざしている。 ただし、コロナによる中国への渡航規制や中国国内のロックダウン(調査地・西安も含む)などによって、予定していた現地調査が行えなかったので、2021年度は、zoomやwechatなどを通して、異なる世代の俳優への下積み修行や芸歴に関するインタビューを継続した。そして、中華人民共和国建国前の俳優教育を知る世代も含め、建国後の俳優教育の変化を把握するそれ以降の世代の俳優を10歳単位で区切り、計30人の俳優に対してインタビューすることが出来た。また、これまでの現地調査で収集してきた秦腔の俳優教育の歴史に関する文献資料の分析も行った。必要に応じて、中国から追加でも俳優教育関連の文献資料を取り寄せて分析した。 一方、芸能教育の学校化概念の理論化を進めるために、文献資料にもとづいて、能楽などのアジアの他のより徒弟教育的な芸能教育との比較分析も行った。さらに、学校化の効果を分析するために、創造性の育成との関係からも同様の比較分析を行った。これらの成果は、たとえば、「「日常的実験」としての芸能学校の芸の習得過程:中国伝統演劇・秦腔の事例から」『関西国際大学研究紀要』23号、pp.97-111などの論文として公表している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナウイルスのパンデミックによる中国への渡航規制と調査地・西安のロックダウンのため、2021年度も予定していた現地調査は出来なかった。それゆえ、オンライン・インタビューで代替する方向で進めている。文献資料の収集と分析もかなり進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナウイルスによる渡航規制がいつ緩和されるかまだ不透明なため、現地調査の部分は後回しにし、すでに収集した現地調査による一次資料や文献資料の分析を行いつつ、今後もオンライン・インタビューや理論的研究をまず優先的に行う予定である。
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Causes of Carryover |
コロナウイルスによる中国への渡航規制と調査地・西安のロックダウンのため、2021年度は中国への現地調査が出来なかった。それによって、渡航費や調査関連費用が使用できなくなり、次年度使用額が生じた。コロナの状況が落ち着き次第、現地出張も再開し、残された助成金と合せて使用する。
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Research Products
(3 results)