2020 Fiscal Year Research-status Report
レソトにおけるジンバブエ移民行商人の会計方法にかんする人類学的研究
Project/Area Number |
19K13478
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
早川 真悠 国立民族学博物館, 人類基礎理論研究部, 外来研究員 (20720361)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 経済人類学 / レソト王国 / ジンバブエ移民 / 行商 / 会計 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、南部アフリカにおける人びとの「固有の会計方法」を明らかにすることにある。具体的には、レソト王国におけるジンバブエ人出稼ぎ移民の行商活動について、彼ら独自の会計方法(価値の計量、財産管理、取引記録)に焦点を当て人類学的調査をおこない、その結果を近代会計や監査制度と比較する。 今年度は(1)研究発表で、記録的ハイパー・インフレから10年、再び高インフレに見舞われたジンバブエの貨幣状況を考察した(a)。また、2008年のハイパー・インフレ期のジンバブエにおける人々の貨幣の使用法を会計学の観点を踏まえて再考察した(b)。(2)文献調査で、貨幣やインフレにかんする経済人類学の文献を講読した。F. Neiburgらの南米インフレ経済下での貨幣使用、およびB. Maurerのモバイル・マネーにかんする研究から、贈与交換という枠組みではない方法で貨幣使用の具体的場面や文脈をより考察する方法を模索していく必要があると考えている。 a) Sibanda, M., S. Gukurume & M. Hayakawa (2021). The parallel money market and money changers’ resilience: Case of Masvingo and Harare, Zimbabwe. In M. Takahashi et al. (eds.) , Development and subsistence in globalising Africa (pp. 375-406). Langaa RPCIG: Cameroon. b) 早川真悠(2021)「ハイパー・インフレ下の人びとの会計――多通貨・多尺度に着目して」出口正之・藤井秀樹(編)『会計学と人類学のトランスフォーマティブ研究』(pp.62-85)、清水弘文堂。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
(1)新型コロナウィルスの世界的流行により予定していた現地調査ができていないため。 (2)新型コロナ感染拡大の影響で調査対象であるジンバブエ人移民の行商が打撃を受け従来の方法が維持できなくなっているため。 (1)今年度は昨年度に引きつづき現地調査をおこなう予定だった。しかし、新型コロナウィルス感染拡大の影響により調査は不可能だった。 (2)新型コロナウィルス感染拡大は本研究で研究対象にしているレソトのジンバブエ人行商人の生活にも大きな影響を与えた。SNSで得た情報によると、レソト国内を行商で回ることが難しくなり、売掛金の回収も困難になっている。また、ジンバブエとレソト間の移動ができず、越境貿易も難しくなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
・貨幣や行商、信用など経済人類学にかんする文献、およびレソトやジンバブエ移民にかんする文献調査を進め、状況が許すようになり次第、現地調査を再開する。 ・SNS等をもちいてできるかぎり情報を収集し、行商人の経済活動の変化や実態を少しでも明らかにする。
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Causes of Carryover |
・新型コロナウィルスの世界的流行の影響で、海外出張を中止したため。 ・可能であれば次年度レソトの現地調査を再開し、海外出張費として使用する。
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