2020 Fiscal Year Research-status Report
多文化社会における信教の自由と政教分離:「多様性のマネジメント」に基づく再構成
Project/Area Number |
19K13507
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Research Institution | Osaka University of Economics and Law |
Principal Investigator |
山本 健人 大阪経済法科大学, 法学部, 助教 (60828937)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 憲法 / カナダ憲法 / 信教の自由 / 政教分離 / 合理的配慮 / 公的空間 / 多様性 / 多文化主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度-2021年度の目標は、①公共討議における宗教的価値観の許容可能性、②宗教に対する合理的配慮に関するカナダ憲法の理解について総合的に検討することである。また、2020年には、カナダでの文献収集及び現地の大学教授や宗教団体等へのインタビュー調査を行い、現地の最新の動向を調査・分析することも計画していた。この点、カナダでの現地調査については、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い中止せざるを得ない状況となった。 研究実績としては、論文を1本公表し、学会報告を1回、シンポジウム報告を1回行った他、本研究課題を中心的内容の一部とする博士学位請求論文を提出した。2020年度-2021年度の目標については、既に昨年度先行して研究業績を公表することができていたため、今年度の研究業績は多くないが、全体的な研究の進捗状況は順調といえる。 公表した論文では、日本の政教分離原則をめぐる学説・判例を再検討し、公共討議における宗教的価値観の許容可能性を日本国憲法の下で考える余地があるかを検討している。学会報告では、カナダの多文化主義と信教の自由の関係について、主要な判例を通時的に検討し、カナダ最高裁の信教の自由解釈論(合理的配慮の法理や公的領域における宗教の問題を含む)がカナダの多文化主義の実現にとってアクセルとブレーキの両側面を持つことを指摘した。また、シンポジウム報告では再洗礼派のフッタライトとカナダ憲法上の信教の自由の関係について検討を行った。なお、最近のカナダにおける宗教に対する合理的配慮の議論動向をまとめた論文が刊行予定となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度公表した研究業績は少ないが、上記の通り、昨年度に先行して公表できた業績がある他、刊行予定の業績もいくつかあるため、現時点では「概ね順調に進展している」と評価することができる。もっとも、新型コロナウイルス感染症の関係で、カナダでの現地調査の実施がおこなえておらず、また、2021年度も実施が困難である可能性が高いため、研究計画の一部変更ないし、代替手段の検討を行う必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度もカナダでの現地調査の実施は困難であると思われるため、代替手段の検討、もしくは、最終年度での実施可能性について必要がある。この他の点については、概ね順調に研究計画を進めることができているため、基本的には当初の計画通り遂行するが、最終的に代替手段では現地調査相当の成果を得ることができず、最終年度での現地調査の実施も難しい場合は、研究計画の地ビ変更が必要になると思われる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の拡大のため、予定していたカナダでの現地調査を中止したため。次年度使用額については、現地調査の代替手段を検討し、当該代替手段の実施費用とする。もしくは、最終年度での現地調査の実施可能性があれば、その実施費用とする。
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Research Products
(3 results)