2019 Fiscal Year Research-status Report
同性婚および登録パートナーシップ制度と租税法上の配偶者概念をめぐる比較法的研究
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19K13508
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| Research Institution | Tohoku Gakuin University |
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Principal Investigator |
加藤 友佳 東北学院大学, 法学部, 准教授 (50737723)
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| Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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| Keywords | 租税法 / 同性婚 / 登録パートナーシップ制度 / 課税単位 / 税制 / ジェンダー |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、多様化する家族制度とそれに対応する租税法のあり方について、諸外国の法制度を踏まえたうえで、租税法の具体的対応策を模索するものである。
その目的としては、わが国には存在しない概念である同性婚配偶者および登録パートナーシップ制度のパートナーらを、わが国の租税法上どのように解釈すべきかについて、統一的なアプローチによる解決策を示し、新たな税制のあり方について提言を行うことにある。この目的を達成するために、本研究では各国制度の比較法的研究を行い、同性カップルに認められる租税法上の権利を明らかにし、それらの権利保障の手法を総合的に分析・解明し、わが国で構築すべき新たな税制への示唆へとつなげる。
本年度の研究では、アメリカ、イギリス、フランスの同性婚および登録パートナーシップの制度と租税法の整備について、各国の条文等を分析し、比較整理を行った。さらに、これまでの研究内容を基盤として、わが国の税制を夫婦に着目し個人単位主義と消費単位主義の観点から検討を行った。
その結果、EUを中心として、同性カップルに対して租税法上配偶者となる権利を認める動きが加速していたが、今日では実質的公平の観点から夫婦についても個人単位主義の徹底へと移行していることが明らかとなった。そこで、この個人単位主義徹底による実質的公平実現への背景とアプローチを分析し、これらの議論がわが国においては配偶者控除を中心とする夫婦に関連する税制へとあてはめることができるという結論に至った。
なお、本年度の研究については、租税法学会において発表を行っており、今後論文を取りまとめる予定である。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、アメリカ、イギリス、フランス、EUを初めとする欧米諸国の同性婚および登録パートナーシップ制度に係わる租税制度の動向を明らかにすることができた。
研究会や学会等において報告する機会を得ることができたため、わが国の税制についても研究を深めることができた。特に、課税単位を中心とする個人単位主義や消費単位主義については、学会報告の準備段階から詳細に議論を交わすことができ、国際的な動向を捉え、わが国への具体的な示唆への足掛かりとなる検討もおこなったことから、本年度は非常に様々な知見を得ることのできた有益な研究年度であったといえる。
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| Strategy for Future Research Activity |
今後は、各国の具体的な租税制度の対応および権利義務関係の調査を行う。特に、本年度はドイツ税制についての研究を進めることができなかったため、ドイツ家族制度およびそれに伴う税制の改正について、重点的に研究を進める予定である。
次に、各国の租税制度改正を比較、整理したうえで、わが国の租税政策への具体的な提言につなげる。これまでの研究では、配偶者控除を中心とした異性カップルと同性カップルの間の形式的平等、財産権侵害の有無について検討してきたが、昨今の国際的動向をふまえ、実質的平等の観点からも考察を行う。
最終的には、わが国の現在の税制についての問題点およびそれに対する具体的租税制度の提言を行うことを目標とする。
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| Causes of Carryover |
招待された講演会等に他の出張をまとめることができたこと、所属大学の異動により東京への旅費が安くなったこと等により、特に旅費を当初の予定よりもおさることができた。
研究予定だったドイツについては研究を着手できなかったため次年度以降には海外研究を予定していること、次年度に研究成果をまとめて出版することから、次年度使用額はこれらにあてる予定である。
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Research Products
(6 results)
