2022 Fiscal Year Research-status Report
国際経済法における無差別原則の変容と法解釈論の再構成
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19K13514
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Research Institution | University of Nagasaki |
Principal Investigator |
平見 健太 長崎県立大学, 国際社会学部, 准教授 (10812711)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 国際法 / 国際経済法 / 無差別原則 / 規制裁量 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、ここ数年来の国際経済関係の混沌・激変を前にして、本研究が当初設定した無差別原則に関する解釈論上の工夫・再構成のみでは現在生じている種々の国家の規制裁量上の課題(人権・環境・安全保障など)を受け止められなくなりつつあることにかんがみて、若干の軌道修正を図った。すなわち、無差別原則に関する前年度までの研究成果を踏まえながらも、よりマクロな文脈のなかで国際経済法の基本原理を捉え直すこととし、自由市場の原則的支持のもとで要請されてきた無差別原則と、現在有志国間で進められている開放性の低い新たな秩序形成の試み(インド太平洋経済枠組み:Indo-Pacific Economic Framework for Prosperity、および、米EU間の貿易技術評議会:Trade and Technology Councilなど)との関係に焦点をあて、今後の国際経済法秩序の中での無差別原則の位置を把握することを試みた。関連する研究成果として、「『経済の安全保障化』は国際通商秩序をいかに変容させるか』(森聡編『国際秩序がゆらぐときー歴史・理論・国際法からみた変容』(千倉書房、2023年)45-59頁)等を執筆し公表した。 なお、2022年度は当初、国際機関での調査や国際学会での研究報告を企図していたものの、航空運賃等の高騰により、結果的に今年度も引き続きその実施を断念せざるを得なかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、海外での調査・学会報告を企図していたものの、ロシア・ウクライナ紛争等を背景とした航空運賃等の高騰により、その実施を断念せざるを得なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
上述のとおり、昨今の国際関係・社会実態の激変をふまえ研究上も若干の軌道修正を行った。2023年度もその軌道修正を維持しつつ、当初設定していたよりもマクロな視点において国際経済法の基本原理を捉え直すこととし、現在有志国間で生じている開放性の低い新たな秩序形成の試みのなかで、無差別原則の位置と限界を把握することに努めたい。 なお、最終年度における本研究成果の公表については、現在、複数の論文執筆を進めており、2023年度中にその成果は公表される予定である。 また、研究資金の制約上、対面での国際学会報告は最終年度も断念し、オンラインで参加可能なものに切り替えを行う予定である。
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Causes of Carryover |
2022年度の計画した海外出張が最終的に中止になったため、次年度使用額が発生。最終年度である2023年度は図書購入、国内出張等に使用する予定。
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Research Products
(2 results)