2019 Fiscal Year Research-status Report
Reconsideration of 'the Rule of Law' in the Maritime Legal Order
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19K13519
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
瀬田 真 横浜市立大学, 国際教養学部(教養学系), 准教授 (90707548)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 海洋法 / 法の支配 / 紛争解決 / 国際司法裁判所 / 国際海洋法裁判所 / 先例 |
Outline of Annual Research Achievements |
海洋法における「法の支配」について研究するにあたり、現在の海の憲法ともされる、国連海洋法条約(UNCLOS)における紛争解決制度、特に、司法機関の果たす役割についての研究を集中的に行った。UNCLOSにおいては、国際司法裁判所(ICJ)、国際海洋法裁判所(ITLOS)、仲裁裁判所などが、UNCLOSの解釈適用についての紛争を解決する司法機関として定められている。しかしながら、それぞれの裁判所はそれぞれ特徴があり、また、国際社会やUNCLOS上において期待される役割が異なる部分もある。そのため、これらの裁判所の裁判例を比較研究することで、それぞれ、どのような役割を志向しているか、あるいは果たすべきかを改めて検証した。 特に、ICJとITLOSという常設の司法裁判所について分析を行い、UNCLOSという枠組みの中で両者はどのように役割を分担すべきかについて検討した。この研究については、The Conflict between Consistency within the Courts and Harmonized Operation of the United Nations Convention on the Law of the Sea というタイトルで、2019年5月にライデン大学のグロティウスセンターで開催されたシンポジウムで報告した。その後、報告を論文にまとめ、2020年度にCambridge University Pressから出版される書籍に所収されるよていである。 また、ITLOSについては、実際に同裁判所を訪問し、柳井判事やHinrichs書記補(当時、現在は書記)にインタビューを行い、その成果を学習院大学の阿部先生、東京大学の平見先生との共著として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたように国際シンポジウムで報告し、その後、編集者及び出版社の査読を通り、書籍への論文の掲載が決まっていることから、研究は順調に進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
海洋における「法の支配」を考えるにあたり、非法規範についての分析が必要不可欠と考えている。この点については、別の研究プロジェクトにおいてISO規格の果たす役割については研究を一定程度行っている。そこで本研究においては、ISO規格だけでなく、他のプライベート・スタンダードも包括し、非法規範として、法規範とどのように関係し、海洋法秩序の形成・維持に貢献しているかを分析していく
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