2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K13521
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
田中 佐代子 法政大学, 法学部, 准教授 (20709323)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 自衛権 |
Outline of Annual Research Achievements |
非国家行為体による攻撃に対して、国家は自衛権を行使することができるのか、という問題をめぐり、学説は長らく対立している。 この問題について、本研究は、自衛権行使対象となる非国家行為体の性質に着目した検討を行う。攻撃を行う非国家行為体が、単に一国への脅威にとどまらず国際社会全体にとっての脅威に該当する場合に、それに反撃して国際社会の共通利益を守るための行動として国家は自衛権を行使することが認められるのではないか(その場合、非国家行為体の所在する領域国は、その脅威に対処する責任を果たしていないことから、他国による自衛権行使を甘受しなければならないものとされる)、という仮説を立て、検証する。同時に、そうした非国家行為体の性質がどのような基準によって判断されるべきかを明らかにすることで、非国家行為体に対する自衛権の行使可能性への一定の歯止めとなるものを探る。 初年度である2019年度は、まず、理論面の全体像を把握するよう努め、その後、国連憲章制定以降の国家実行の検討を開始した。自衛権を援用した国家や、それに支持・黙認・非難など何らかの反応を示した国家が、非国家行為体の性質をどのように捉えていたのかを分析した。特に、2014年からの米国等によるシリア領域内のイスラム過激派組織ISIL(Islamic State in Iraq and the Levant)に対する軍事作戦をめぐる議論を中心に検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染拡大のため、3月に予定していた海外出張を中止せざるを得ず、研究計画に変更が生じた。ただし、ウェブ上で入手できる資料などを用いて国家実行の検討を進めており、全体としてはおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
国家実行の検討をより広範に行う予定である。海外出張がいつから可能になるかはまだ見通せないので、現下の状況の中で入手可能な資料をもとに、分析を進めていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大のため、3月に予定していた海外出張を中止せざるを得ず、次年度使用額が生じた。 リモートワークでの研究遂行に対応するための機器の購入や、資料の取り寄せにかかる費用にあてる。
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