2021 Fiscal Year Research-status Report
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19K13521
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
田中 佐代子 法政大学, 法学部, 准教授 (20709323)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 自衛権 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、非国家行為体による攻撃に対して、国家は自衛権を行使することができるのか、という問題について、特に、自衛権行使対象となる非国家行為体の性質に着目して検討を行っている。 2021年度は、国連憲章制定以降の国家実行の検討を継続した。自衛権を援用した国家や、それに支持・黙認・非難など何らかの反応を示した国家が、非国家行為体の性質をどのように捉えていたのかを分析した。しかし、妊娠・出産に伴う研究中断により2021年度は計画通りに作業を進めることができず、成果公表には至らなかった。2022年度中のとりまとめを目指している。なお、この研究中断期間を補うため、1年間の期間延長を申請しているところである。 また、2020年度に、非国家行為体が関わる場合に限定せず、自衛権の諸要件を整理し、その観点から、日本のいわゆる敵基地攻撃能力をめぐる議論を評価することを試みたが、この議論が昨今改めて注目されていることから、2021年度もその分析を継続した。敵基地攻撃は法理的には可能という日本政府の立場にはいくつかの条件が付されており、それらは、国際法上の自衛権行使の要件も適切にふまえたものと評価できる。ただし、現在の議論状況に鑑みれば、実際に敵基地攻撃がどのように実施されうるのかをより具体的に想定し、武力攻撃発生時点の判断や必要性・均衡性要件との関係などの観点から慎重に検討する必要があると考えられる。このような自衛権行使一般についての検討の成果を、今後、直接に非国家行為体に関わる研究にいかしていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2021年度前半は妊娠に伴う体調不良等により十分に研究の時間を確保することができず、さらに、11月から年度末まで産前産後休暇・育児休業により研究を中断した。そのため、本研究の進捗状況としては遅れていると言わざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年4月より研究を再開し、研究期間の延長(2023年度まで)を申請したところである。 関連する国家実行の分析を継続し、その成果を取りまとめて公表するための作業を進めていきたい。
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Causes of Carryover |
産前産後休暇・育児休業に伴い研究を中断したため、次年度使用額が生じた。必要な資料の収集を継続するため、図書購入・文献取り寄せの費用にあてる。
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