2019 Fiscal Year Research-status Report
実効的な労働法規制を可能とするための労働法の名宛人に関する総合的研究
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19K13531
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
土岐 将仁 岡山大学, 社会文化科学研究科, 准教授 (60707496)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 使用者 / 法人格否認の法理 / プラットフォームワーカー / 個人事業主 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず,日本法に関する検討としては,事業活動を行う拠点の運営や事業の遂行を業務委託契約などの労働契約以外の形式に基づいて,個人事業主に担当させ,この個人事業主が労働契約によって労働者を雇用し,事業者との契約に従って,拠点を運営し事業を遂行する事業モデルを題材として,個別的労働関係法・集団的労働関係法の現在の法理でどこまでの対応が可能かの検討を行った。現時点では,形式上の労働契約当事者を超えて第三者企業に労働契約上の地位そのものを問うのは容易ではなく,例えば,賃金支払責任など個別の責任を方策を充実させることが必要と考えている。また,集団的労働関係法については,朝日放送事件最高裁判決による判例法理や労働委員会命令の検討を行い,現在の法理の展開状況やその課題の確認を行った。また,日本においても普及しつつあるプラットフォーム就労についての検討も開始した。 次に,比較法的観点からの検討としては,比較対象国の知見のアップデートに努めた。アメリカについては,前政権の末期頃において,労働者保護を強める方向で,集団的労働関係法に関する行政命令や個別的労働関係法に関する行政解釈指針が発出されるなどの動きが見られていた。しかし,政権交代にともなって,これらの動きに対する揺り戻しが進んでいることが観測された。また,プラットフォームワーカーの労働法による保護の問題を考察するに際して,競争法とどのように交錯するかについての議論状況の把握を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に従い,進行しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究実施計画に従って,2020年度は,プラットフォーム就労などに注意しながら,比較法的な知見を深化させるとともに,国際的なソフトロー規範に関する検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
物品費については概ね計画通り執行したが,旅費について未執行額が生じたのは新型感染症発生に伴い,参加予定であった研究会がキャンセルされたためである。
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Research Products
(6 results)