2019 Fiscal Year Research-status Report
居住継続支援の法的基盤の検討-災害救助法制と社会保障の接合を目指して
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19K13533
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
嶋田 佳広 佛教大学, 社会福祉学部, 教授 (40405634)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 生活保護 / 災害 / 住宅 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究初年度にあたり、研究環境の整備を重点的におこなった。具体的には、研究者の対象法領域(社会保障法)について、ドイツのオンラインデータベース(Beck-Online, Sozialrecht premium)を契約し、これに接合するかたちで、おそらく日本では契約例のほとんどないマイナーなデータベース(Nomos-Online Sozialrecht)を追加購入した。これによって紙ベースの資料コピーの煩わしさから飛躍的に解放され、研究環境を向上させることができた。あわせて、大学に要求し、国内法のオンラインデータベースを契約してもらうことができ、この点においても研究環境が向上した。 論文等については上記の対応を基本としつつ、新たな分野の開拓が今次の研究の柱になっていることに鑑み、災害対応にかかるドイツの基本的な法制度について、概説書、教科書、基本となるコンメンタール類の購入を図った。ただしドイツの国内法制は連邦制の関係もあって各州ごとに少なからぬ違いがあることが研究途中で見えてきたこともあり、どの州にフォーカスするのか、今一度検討が必要であることがわかった。 日本の国内制度については、別途、教科書執筆に関わる関係で、生活保護、住宅扶助、住宅に関する諸制度について、近時の動向を踏まえた整理をおこなうことができた。また、年度明けにも、生活保護の判例解説を目的とする書籍が刊行予定であり、この書籍の編著者として、担当箇所の執筆および戦後の生活保護判例のデータベース作成を進めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度に入手ないし整備できた、基本書の読み込みや、データベースにおける最新動向の確認は、おおむね進んだものと思量する。夏には経年の調査の延長でドイツを訪問することができ、翌年度以降の調査について、現地での調整の端緒を得ることができた点も、大きな進歩である。現地の社会保障法研究者へのアクセスも、これまでの遺産を生かして進めていけそうである。 一方で、年度末にドイツに資料収集を目的としておもむくことを予定していたが、コロナの拡大により中止を余儀なくされている。その他、ドイツも国内が混乱しているようであり、2020年に出版予定の専門書等がのきなみ延期となっている。研究に対する打撃が憂慮される。ひとまずは国内外の様子をみながら、次年度以降研究を深めていくこととなる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、勤務先大学の混乱(授業のオンライン化など)に平行して、どのように進めていけそうか、戦略の練り直しが必要になっている。とりわけ、国内の出張が果たして可能なのか、慎重な検討が求められている。紙ベースの資料や、オンラインデータベースは今のところ生きているので、さらにこれらを読み進めながら、アフターコロナにおける社会の一変した状況を踏まえて、実践的な課題と理論的問題を検討していきたい。ドイツ現地調査は場合によっては今年度は見送りにせざるを得ないかもしれない。その場合、現地在住の通訳を通じた彼の地との連絡の取り方について、新たな手法を開拓していかなければならない。これも新たな課題と目する必要が出てきている。
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Causes of Carryover |
年度末に予定していた国内出張がコロナの影響で断念したため。
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