2020 Fiscal Year Research-status Report
精神障害者処遇における再犯防止概念に関する理論的・比較法的研究
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19K13536
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
大谷 彬矩 龍谷大学, その他部局等, 研究員 (00801622)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 精神障害者処遇 / 犯罪行為者処遇 / 再犯防止 / 保安処分 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、精神障害者と犯罪行為者処遇との間の境界や、精神障害者処遇の領域で「再犯防止」を強調することの意味を明らかにすることを目的としている。 二年目は、一年目の文献調査によって把握した情報を基に、実態調査を行うことを予定していた。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、精神保健福祉法に基づく精神科病院、知事による指定病院、医療観察法に基づく指定入院医療機関での処遇の実態を調査することはかなわなかった。また、海外渡航も制限されている状況のため、ドイツの保安処分施設での実地調査もできなかった。 その一方で、新しい研究手法として、インターネット・リサーチを利用した調査に挑戦したり、引き続き、保安処分に関する多くの文献を収集し、文献調査を行ったりすることに時間を割くことができた。オンライン研究会にも積極的に参加し、自身の研究に関しても考察を深めることができた。 法学的アプローチはもとより、社会意識の調査など、社会学的・経験科学的手法を用いて、調査研究を実施し、その成果を公表した。比較法的アプローチについては、海外の研究者との交流によって、調査の準備を進めているほか、ヘッセン州の法律状況を調査し、精神科病院、禁絶施設、保安監置執行施設における処遇のあり方を明らかにした。 研究成果の発表については、研究会での報告を3回行い、論文を2本、資料を1本公表した。 本研究とも関連する成果を踏まえた単著書の公刊の準備も進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス流行の影響によって、実地調査の延期という予期すべからざる事態はあったものの、文献調査、インターネット・リサーチなどを利用して、新たな研究成果を得ることができた。オンラインの研究会での情報収集によって、今後の研究に資する知見も得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
三年目は、一年目の文献調査、二年目の比較法的・社会学的調査の結果を基に、理論的検討を進める。 現状や海外の動向を踏まえた上で、自由刑と保安処分との異同、精神障害者処遇において「再犯防止」を強調することの意味について、検討を進め、書籍での公刊(論文の寄稿)を予定している。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響のため、国内および海外での出張旅費が使用できない状況であった。 翌年度に、出張が可能な範囲で使用する計画である。
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