2019 Fiscal Year Research-status Report
再犯予防と良き人生の両立を目的とする犯罪者処遇モデルの研究
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19K13545
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Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
相澤 育郎 立正大学, 法学部, 助教 (90715393)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | グッドライフモデルの理論的解明 / 再犯防止 / 犯罪・非行からの立ち直り |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度、本研究課題であるグッドライフモデル、犯罪・非行からの立ち直りならびに再犯防止に関連する研究実績は、論文3報、学会報告3報である。 論文として、(1)相澤育郎「グッドライフモデルと犯罪・非行からの立ち直り」犯罪社会学研究(44)pp.11-29は、本研究課題の主要な目的であるグッドライフモデルの理論的解明を試みたものである。本論文では、初期グッドライフモデルから現在のモデルに至るまでの理論的変遷を文献調査により明らかにし、現在のグッドライフモデルの分析と評価を行った。(2)相澤育郎「フランスにおける少年の収容施設と処遇制度」罪と罰57(1)pp.69-82は、2019年度に実施した海外調査の成果を公表したものである。近時日本でも話題となっている少年・若年者の施設収容処分の類型と実際の処遇の様子を文献・現地調査の双方から検討し、日本における少年の再犯防止対策への提言を行った。(3)森久智江・相澤育郎・斧原藍・赤津玲子「犯罪をした人が自ら「今ここを生きる」ためにー処遇における法的地位・処遇論と心理職による支援のあり方ー」法と心理19(1)pp.40-46頁は、前年の学会報告を論文化したものである。相澤は「受刑者処遇における対人援助職の関与のあり方について:医師、社会福祉士等を検討の糸口として」との題で、刑事施設における心理職の関与のあり方について、他の援助職との比較を交えながら検討した。 学会報告として、日本犯罪社会学会第46回大会において、(4)相澤育郎「犯罪行為者に対する近時の就労支援施策の展開(テーマセッションM)」、(5)同「フランスにおける少年・若年者に対する施設内処遇の諸相(テーマセッションD)」、(6)岡邊健、相澤育郎、大塚英里子「国際自己申告非行(ISRD)調査の国内実施に向けての諸課題:日本チーム発足からプレ調査実施までの経緯をふまえて(自由報告)」など関連する報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定されていたグッドライフモデルの理論的解明に関しては、論文(1)の公表により研究実施計画の通り進んでいる。他方で2019年度予定されていたニュージーランドへの調査については、諸般の事情により年度内の実施はかなわなかった。その反面、非行少年処遇において先駆的な取り組みをしているフランスへの調査が実施できたことは、本研究に大きな示唆をえた。ニュージーランド調査に関しては、2020年度後半にあらためて実施する予定ではあるが、新型コロナウイルスの影響により先行きは不透明である。元受刑者と支援者によって組織される研究会には、2019年度も継続的に参加し、社会復帰への困難などの聞き取りを続けている。2020年度には、当該研究会の主催者であるNPO法人マザーハウス理事長の協力を得て、大規模なアンケート調査が実施されている。 以上から、研究の目的として挙げたグッドライフモデルの理論的解明および元受刑者等への聞き取り調査は概ね研究実施計画の通り進んでいるが、現地調査については当初の目的を果たせなかったことから「やや遅れている」との自己評価となった。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、当初の実施計画にしたがってグッドライフモデルに関する文献の渉猟および検討は継続して行う。今後はグッドライフモデルにおける実務へのインプリケーションを中心に検討し、実務家が実践できるガイドラインの作成などを行う。また元受刑者や支援者への聞き取りについても、継続して行う。あわせて2020年度中には、NPO法人マザーハウスの協力のもと、受刑者・元受刑者に対する大規模なアンケート調査の実施が予定されている。これはグッドライフモデルの仮説を検証する調査内容であり、本モデルのさらなる理論的解明に資するのみならず、実際の犯罪行為者等の社会復帰のニーズを知ることができる絶好の機会と考えられる。 今後の課題となるのは、外国調査である。当初、ニュージランドの心理学者トニー・ウォードに直接会い、グッドライフモデルの理論と実務への応用について研究会等を行う予定であった。しかし、2019年度は現地調査が不調に終わり、また2020年度は新型コロナウイルスの影響で海外調査の実施可能性については極めて不透明である。その対応策としては、メールやオンライン会議を用いて情報交換を活発化させることを検討している。
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Causes of Carryover |
2019年度は現地調査に関して大きな変更があった為、予算執行計画に若干の変更が生じた。これについては、2020年度の消耗品費に使用することを検討している。
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