2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K13546
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
山田 早紀 立命館大学, 立命館グローバル・イノベーション研究機構, 研究員 (20784010)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 被疑者取調べ / 弁護人の立会い |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,多くの海外刑事司法制度において導入されているものの日本においては規定の設けられていない「被疑者取調べにおける弁護人の立会い制度」(以下,立会い)について実証的手法によって検証し,日本での導入について検討するものである。法の実務家や研究者においては議論があるものの,立会い制度の効果そのものや運用可能性について,実証的検討は日本においてはなされていない。本研究では,立会い制度について,①海外での先進的な研究をレビューすることで国内にひろく知見を紹介することで実証的検討のための議論の素地をつくり,②可視化制度が既に運用されている現在の日本の司法制度における,適切な立会い制度の導入方法について実験的手法を用いて検証する。これにより,日本における立会い制度の導入可能性,運用可能性について検討し,適切な導入方法について明らかにすることを目指している。具体的には(1)海外研究のレビューを行って立会い制度の実情やその効果検証について検討し,(2)立会いの必要性についての実験的検証,(3)可視化記録における「立会い」映像の取扱についての実験的検証を行うことで,日本における立会い制度の導入必要性と運用可能性について検討し,適切な制度運用について提言を行うことを目指す。 今年度は,まず(1)海外の先行研究レビューおよび(2)立会いの必要性に関する実験検証の準備を行った。先行研究レビューより,立会いがある場合,被疑者と取調官,療法が取調べにおける態度を変容させることが明らかになった。また弁護人の取調べへの関与方法は取調官の戦略に影響を与える可能性も示唆されている。この結果をもとに,立会いによる影響を実証的に検証するための実験における取調べシナリオや質問項目などを考案することができ,実験実施のための土台づくりを行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は海外先行研究のレビューを行い,一定の知見を明らかにすることができた。またそれによって,実証研究のための土台づくりも行うことができた。この土台をもとに予備実験を実施することを予定していたが,新型コロナ肺炎の流行により,実験参加者を募った対面での実験は困難であったため,実施には至らなかった。この点については,来年度の実施に向けて,実験方法や時期の見直しを行い,研究遂行のための検討を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
先行研究レビューをもとに考案した,立会いの必要性に関する実証実験の実施を行う。これによって,立会いが取調官,被疑者に対してどのような影響をもたらすのかを明らかにする。なお実験実施については新型コロナ肺炎の流行により,当初予定していた大人数を集めた集団実験は困難であると考えられる。そこでリモートでの実験参加,個別に集合しての実験参加,実験の実施時期の検討などを行うことで,立会いの必要性について検証する実験を実施する。この実験結果をもとに,次の課題である立会いのある取調べがどのような判断につながるのか,を検証する。
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Causes of Carryover |
新型コロナ肺炎の流行により参加予定であった国際学会の開催が中止されたこと,および実施予定であった予備実験の実施が困難になったことから,当初予定していた使用額に差額が生じている。 実証実験についてはその実施方法をリモートでの参加,個別実験の実施などに変更し,実施時期についても調整することで実験的検討を継続させる予定である。
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